研究課題/領域番号 |
13J08879
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
山本 真紗子 立命館大学, 衣笠総合研究機構, 特別研究員(PD)
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キーワード | 明治 / 百貨店 / 高島屋 / 美術工芸 / 京都 / 輸出 / 貿易 / 着物 |
研究概要 |
百貨店美術部の前身と海外向けの活動 明治期の高島屋貿易店の活動について主に高島屋の同時代の広報物の記載を調査した。PR雑誌である『新衣裳』やPRペーパーである『百華新聞』掲載の、貿易店の店内写真・商品写真や、同時代の新聞記事・美術団体雑誌等などから高島屋貿易店の陳列方法や取扱商品の特色を明らかにした。成果の一部は論文としてまとめ、「明治期高島屋貿易店の活動にみる百貨店としてのイメージ戦略の萌芽」『CoreEthics』(立命館大学大学院先端総合学術研究科)Vol. 10として掲載された。 また、高島屋が海外の万国博覧会へ出品した物品や、輸出した染織品・刺繍作品について、海外での調査を実施している。2014年2月にthe Ashmolean Museum of Oxford Universityにて高島屋のラベルのついた刺繍屏風や、同時代の輸出染織作品(着物風ローブ、刺繍画の掛軸など)を閲覧した。ほかに、同時代に輸出された日本の美術工芸品の調査として、19世紀末~20世紀初頭のリバティのカタログや関連書籍を閲覧・調査している。 上記調査の過程で、2014年9月にメトロポリタン博物館で着物に関する展覧会が実施され、高島屋の製品が展示される予定との情報を得ることができた。次年度は、その展覧会の観覧や展示資料についての情報収集もおこなっていきたい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度の調査テーマであった、高島屋の海外進出や、貿易関係の活動について、国内・国外での資料調査を実施することができた。また、次年度の調査の手掛かり(メトロポリタンでの着物展の開催・高島屋関係資料の存在)などを入手することができた。
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今後の研究の推進方策 |
前出の通り、メトロポリタン美術館で着物に関する展覧会が開催される。会期中の展覧会の観覧、もしくは開催前・後に出品予定資料の資料調査を実施したいと考えている。また、当初の研究計画通り、百貨店美術部と民藝運動に関する調査(川勝堅一と河井寛次郎の関係に関する調査等)について、聞取り調査と文献調査を組み合わせながら調査を進める。そこで、百貨店美術部を中心とした当時の文化人・芸術家のネットワークを明らかにし、百貨店の文化事業が同時代の芸術運動にどのようにかかわり、どのような役割を果たしたのかを考察していきたい。
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