研究課題
マルチフェロイックフォトニック結晶(EMO構造)は,高速に光の全状態(強度・偏光・位相)を低電圧で変調できることが理論的に示されている.本年度は,昨今の3D技術や医療技術の発展で重要性が再認識されているデータストレージ技術への展開に重点を置き,本研究課題で応用例として挙げた磁気ホログラフィックメモリへの適用を目指して,磁気を用いた高速大容量のデータストレージ技術へとつなげることを目標とした.初年度、基礎的検討を行った磁性フォトニック結晶(MPC)媒体について,本年度はより詳細な検討を行い,ディジタル情報を記録・再生する実験を行った.一軸で光の干渉を実現するコリニア光学系を構築し,MPC媒体へ磁気ホログラムの記録・再生実験を行ったところ,再生像のコントラスト比が従来の2倍向上し,MPC構造を取り入れることにより信号強度を向上させることができた.また磁気ホログラム媒体の課題の一つに,記録光照射によって生じる過剰な熱が拡散し,磁気干渉縞が変形する課題があったため,媒体中の熱拡散を制御するナノ積層構造に関して積極的に検討を行った.具体的にはMPC媒体中での熱拡散を制御する,透明な異種材料層(熱拡散層)を導入することにより本課題の解決を試み,適切な多層膜構造を適用することで,過剰に発生した熱を熱拡散層に拡散させ,磁気干渉縞の変形を抑制でき,回折効率を向上できた.本年度は,本研究課題の最終年度として,EMO構造の応用先である磁気ホログラムに大きく踏み込んで研究を遂行した.これまでに得られた構造を制御した光学媒体に関する知見を積極的に活用し,ナノ構造を取り入れることで磁気ホログラム媒体の種々の課題の解決に成功した.EMO構造自体に関する成果もさることながら,その過程で探究したMPC構造や熱拡散層の考えや設計方針は,これからの多機能光学媒体の研究開発に大きく寄与することが期待される.
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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Optics Express
巻: 24 ページ: 522-527
10.1364/OE.24.000522
巻: 23 ページ: 13153-13158
10.1364/OE.23.013153
http://www.spin.ee.tut.ac.jp/research.html