研究課題/領域番号 |
13J08965
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研究機関 | 宇都宮大学 |
研究代表者 |
井上 未知美 宇都宮大学, 工学研究科, 特別研究員(DC1)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 高階調表示 / プロジェクタ / 多重投影 / 印象評価 |
研究実績の概要 |
高臨場感を与える高階調表示に関する研究として、今年度は階調数の違いによる印象変化とコンテンツの関係性について検討することを目的としていた。まず予備実験として少数の評価画像を用いて階調数の違いによる印象変化について調査した結果、階調数の増加による印象の向上は確認されたが、その変化は8ビット付近で頭打ちを起こしており、高階調化による効果を確認することができなかった。また、評価画像によっては5ビットまで階調数を落としても印象が変化しなかった。このことから、階調数の変化は微小なものであり、評価方法や評価画像が高階調に適していない場合、被験者が差に気付かない可能性が考えられた。よって高階調の評価に適した実験方法や評価画像について検討を行った。まず、評価方法として、階調数の違いによる印象差を調べる前に、階調数の違いを弁別できているか一対比較法により調べることで観賞者が変化に気付いているか確かめられると考えた。よって弁別実験と印象評価実験を同時に行い、変化に気付いているか確認しつつ印象変化についても調査する。次に評価画像については、階調数の差が顕著に現れる画像の特徴を定量的に示す必要があると考えた。そこで、評価画像の特徴を表すためのパラメータとしてグラデーション量を提案した。階調数の違いは画素値が徐々に変化するようなグラデーション領域に発生すると仮定し、画像中のグラデーション量を表す計算式を考案した。計算には離散コサイン変換(DCT)時に用いられるDCT係数を使用した。DCT係数は画像中のブロック内における周波数成分の振幅を表す。そこで、DCT係数内の低周波成分の値に着目し閾値処理を行うことでグラデーション量を抜き出すこととした。今年度はこれら実験準備が主な内容となり、実験の実施まで至らなかった。次年度はこれらの検討を基に評価実験を実施し、階調数と印象変化、コンテンツの関係を調査する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
予備実験の結果、高階調化の効果を確認することができなかったため、実験方法を1からすべて見直した。その結果、今年度は評価方法の考案や評価画像の準備、実験装置の精度向上に時間を取られ、実験の実施まで至らなかった。よって、目的としていた階調数の違いによる印象変化とコンテンツの関係の調査を行うことができなかったため、研究の進捗は遅れていると言える。
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今後の研究の推進方策 |
予備実験の結果から被験者が階調数の差に気付かない可能性が考えられたため、評価方法や評価画像を事前に良く吟味してから実験に臨む。特に、階調数の差が弁別可能であるかどうか、評価に適切な画像かどうか、評価語が高階調化の効果を表しているかどうかを事前に予備実験として調査してから本実験を実施する。また、限られた時間のなかで成果を上げるために、本研究に置いて何が重要でありどこにこだわる必要があるのか考え、効率よく研究を遂行していく。
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