研究課題/領域番号 |
13J09015
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
米村 洋而 東京大学, 大学院総合文化研究科, 特別研究員(DC2)
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キーワード | γセクレターゼ / プレセニリン / Aah1 / 酵母 |
研究概要 |
酵母でそれぞれ再構成した6種類のγセクレターゼ(PS1/Aph1aL、PS1/Aph1aS、PS1/Aph1b、PS2/Aph1aL、PS2/Aph1aS、PS2/Aph1b)について、酵母転写因子Gal4融合基質(APP由来のC55-Gal4、Notch-Gal4)の切断活性をレポーターアッセイによって評価した。その結果、PS2/Aph1bのγセクレターゼはNotch1の切断活性については低いが、APPの切断活性は高いという特徴を有することが明らかとなった。酵母膜画分を用いたin-vitroアッセイによってこの結果をさらに詳しく調べようと試みたが、膜画分中にγセクレターゼ構成タンパク質の一部が極端に少なくin-vitroアッセイを行うことができなかった。 そこで、私はヒト胎児腎細胞由来のHEK293細胞を用いて、PSとAph1のsiRNAによるダブルノックダウンを行い、異なるγセクレターゼのもつ機能について詳細な解析を行った。PS1とAphlaのノックダウンが確認できた細胞が培地中に放出するAβの分子種についてウェスタンブロット、ELISAで調べた結果、毒性が高いAβ42の産生比率が高いことがわかった。一方で、同細胞ライセート中のNotch切断によって産生されるNICDの量は低いことが確認された。つまり6種類のγセクレターゼのうちPS2/Aph1bのγセクレターゼを特異的に阻害することができれば、アルツハイマー病の発症と深い関連があるとされるAβ42の産生を低く抑え、さらにNotchシグナルの阻害による副作用を避けられる可能性があることが示唆された。 これらの成果は国内学会で発表され、第18回日本病態プロテアーゼ学会学術集会における発表では学会奨励賞を受賞した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
異なるγセクレターゼを発現させた酵母からそれぞれ膜画分を調製し、γセクレターゼによる基質切断のin-vitroアッセイを行うことを予定していたが、一部の形質転換体の膜画分からγセクレターゼ構成タンパク質が確認できず、予定していたアッセイを行うことができなかつた。しかし、培養細胞を用いたノックダウン実験を行うことで異なるγセクレターゼから産生されるAβ分子種の違いについて調べることができた。したがって、総合的におおむね順調に進展していると言える。
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今後の研究の推進方策 |
酵母に異なるγセクレターゼ複合体をそれぞれ発現させ、膜画分を調製しin-vitroアッセイを行う予定であったが、一部の形質転換体から活性のあるγセクレターゼを回収することができなかった。膜画分調製の条件検討を行い、繰り返し膜画分調製を試みたが、in-vitroアッセイを行うことができなかった。予定では酵母にすべてのγセクレターゼを発現させ、膜画分を調製後、免疫沈降法などによってどのγセクレターゼがどのくらい存在するのか、異なるγセクレターゼの存在する画分の違いを調べる予定であったが、これを変更し培養細胞を用いて免疫染色法などを用いることによって研究計画の一部については明らかにしていく予定である。
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