研究実績の概要 |
これまで共感覚が言語発達に関係があると示唆されてきたが(Simner, 2009)、その機能を示した研究はない。本研究は、共感覚が言語発達に機能を持つという仮説のもと、乳幼児の共感覚を実験的に調べるものである。共感覚の研究は成人を対象にしたものがほとんどであるが、本研究では、子どもの言語発達における共感覚の変化を調べ、共感覚の言語発達における機能の検証を目指した。
2014年度は特に児童の発達過程における共感覚の変化について研究を行った。特に、「数字に色を感じる」タイプと、「数字に性格を感じる」タイプの共感覚に着目し、小学生4、6年生に対してスクリーニングを行った。その結果、学年が上がるにつれて、共感覚の度合いが下がることがわかり、発達と共感覚の関連が示唆された。この結果は2014年度発達心理学会にて発表した。
また、2013年度よりの継続研究である、コンピュータシミュレーションによる多感覚ロボットのモデルについての結果を、国際的な学術誌である、PLoS ONE 誌に発表した。これは複数種類のセンサーがついたロボットが迷路を解く過程を模したものであり、感覚野間が冗長に結合している場合には、カオス的な神経活動が見られ、頑強な振る舞いが可能となることを示した。また2014年度には、イギリスSussex 大学にて、共感覚のシミュレーションモデルの開発を行った。結果は現在解析中である。
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