研究課題/領域番号 |
13J09117
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
山口 絢 東京大学, 情報学環・学際情報学府, 特別研究員(DC2)
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研究期間 (年度) |
2013-04-26 – 2015-03-31
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キーワード | 司法アクセス / 高齢者 / コミュニケーション / 法律相談 |
研究実績の概要 |
1.研究目的 本研究は、首都圏の高齢者の法律相談へのアクセス障害および法律相談におけるコミュニケーションへの期待を、実証的に分析することを目的としている。 2.研究経過 平成25年度は、首都圏在住の20-79歳を対象としたインターネット調査を実施した。これまでに報告者が実施した、弁護士・司法書士を対象とした高齢者の法律相談へのアクセス障害の認識に関するインタビュー調査および紛争行動全国調査(村山・松村2006)の二次分析によって、高齢者の法律相談へのアクセスに影響しうる要因が抽出された。基礎調査で抽出された要因が、高齢者の法律相談へのアクセスに実際にどのように影響しているかを明らかにするため、一都六県に住む20歳から79歳949名を調査対象としたインターネット調査を実施した。 その結果、高齢者にとってプライバシーの確保が法律相談を利用する上で重要であること、高齢で家計に困難さを感じているほど法律相談の場所を知らないといった傾向が明らかになった。また、法専門家とのコミュニケーションの関係では、60-70代の高齢者は、法専門家に対し、専門的な法知識だけでなく、日常生活への配慮やコミュニケーションスキルを期待していることが明らかになった。 一般にインターネット調査ではデータが実際の母集団の分布よりも所得が高めに偏っている可能性があるため、26年度への繰り越し分では調査会社から所得情報のデータを購入した。その上で、高齢の回答者の中央値である世帯年収400万円を基準に、400万円未満、以上の2つの変数を作成し、独立変数として分析に使用した。その結果、高齢者にとって世帯年収よりも主観的な経済困窮度のほうが司法アクセスに影響している可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
インターネット調査により、高齢者の法律相談へのアクセスの傾向や法律相談への期待について概観することができた。また、分析結果について国内学会、国際学会にて報告することができた。
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今後の研究の推進方策 |
インターネット調査では、具体的な文脈においてアクセス障害やコミュニケーションの問題点がどのように顕在化するのかについては把握するのが難しい。そのため、26年度では補足的に高齢者を対象にしたインタビュー調査を実施する。
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