今年度は、アミノグリコシド-オリゴヌクレオチド複合型分子によるPremature stop codon選択的なリードスルー法の構築を目指し、アミノグリコシド系抗生物質の官能基選択的な化学修飾法について重点的に検討を行った。 本研究課題の遂行において鍵となるのが、リードスルー活性化の高いアミノグリコシド誘導体をいかに効率的に合成できるかという点である。アミノグリコシドは反応性官能基であるアミノ基および水酸基を同一分子内に複数持つ複雑な構造を有する化合物である。したがって、アミノグリコシド上の一つの官能基を選択的に化学修飾するためには保護・脱保護など多段階の合成過程を必要とする。また、化学修飾可能な官能基の位置も限定的である。これらのアミノグリコシドの化学的性質により、リードスルー活性の高いアミノグリコシド修飾体を得ることが困難となっており、研究遂行の大きな問題点となっていた。この問題点を解決し研究課題の進展を計るべく、ペプチド型触媒を用いたアミノグリコシドの官能基の選択的な化学修飾法の開発に従事した。ペプチド型触媒は多点水素結合によりアミノグリコシド上の特定の官能基を認識し、化学修飾することが可能であると考えた検討を行った。ペプチド触媒の構造や各種反応条件を精査した結果、アミノグリコシドの官能基選択的な化学修飾法に関して重要な知見を得ることに成功した。以上の検討により得られた結果は研究課題の進展に大きく寄与するものと考えられる。
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