研究課題
大迫研究では、288名分の家庭血圧データを収集し、このうち133名から血液・動脈硬化・頭部MRIデータを収集した。頭部MRI画像を用いて、対象者485名の無症候性脳血管障害(ラクナ梗塞、白質病変)の評価も完了させた。脳卒中発症状況の追加調査によって2年間の追跡期間の延長を行い、今後の検討の拡張に貢献した。併せて、既存のデータで解析を進め、血圧・脈拍日間変動が心不全マーカーであるN末端プロB型ナトリウム利尿ペプチドの高値と関連していることを報告した。性別、年齢、高脂血症、家庭高血圧、または降圧薬の服用の有無による層別解析も行ったが、これらと血圧・脈拍日間変動のN末端プロB型ナトリウム利尿ペプチド高値に対する有意な交互作用は認められなかった。HOMED-BP研究では、およそ3000名のデータベース化がほぼ完了し、解析の事前準備を整えた。さらに、同意の得られた対象者90名の遺伝子解析を進めた。一部のデータを用いて、アンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬の降圧度に性別や年齢が影響する可能性も解析結果として得られている。J-HOME研究においても、同様のデータベースの構築を継続している。東北大学病院データベースについては、東北大学大学院医学系研究科の倫理審査員会の承認を得て、高血圧患者約5000名の電子データを抽出した。2009年時点の高血圧患者(二次性を除く)4707名において、カルシウム拮抗薬が65.4%、アンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬が57.8%に処方されており、その他の降圧薬は25%未満であることを明らかとした。
2: おおむね順調に進展している
データの追加と、データベース化の構築が順調に進行している。新規に得られたデータを含む現在のデータベースで一定の結果も得られている。また、東北大学病院データベースでは、電子データの利用可能性が実証され、今後の作業の迅速化にも貢献した。
大迫研究では評価した無症候性脳血管障害データを用いて、生活習慣と無症候性脳血管障害または認知機能障害などの関連、およびその関連に影響する基礎特性の解明を目標とする。HOMED-BP研究およびJ-HOME研究ではデータベースの統合を行い、各降圧薬の降圧度に影響する基礎特性および遺伝子多型を明らかとしたい。東北大学病院データベースではベースラインデータの整備を完了させたうえで、予後情報を抽出し、前向きな検討を行う予定である。
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