本研究課題は、mild cognitive impairment (MCI)を有する高齢者に対する運動介入方法としてどのようなものが適しているのかを強度、内容、頻度などの観点から検討することを目的とした。平成27年度は、海外研究機関での研究活動を実施し、疫学調査結果の解析や脳画像解析を共同で実施した。その結果、本研究課題の中心的課題であるMCIの身体活動ならびに身体機能に関するいくつかの知見を得ることができた。MCIは認知症のリスクが高いことから着目されているが、認知機能だけでなく身体機能低下が加わることで、より認知症リスクが高まることが近年知られている。特に歩行能力の低下に着目が浴びており、MCIと組み合わさることでよりハイリスクとなることが解析により明らかになった。脳画像解析については、分割化ならびに標準化された画像を用い、灰白質と関連するパターンを解析するためにprincipal components analysisを用いた解析を行った。前述した認知機能低下に重要な役割を果たしている歩行能力との関連性を検討するためにprincipal components analysisを実施し、関連する部位を明らかにした。また、前年度から着目しているdual-taskを行った際の運動パフォーマンスに関連する要因ついて、実験的に実施したdual-task歩行と脳画像指標との関連性を検討した結果、MCI高齢者のdual-task歩行と白質病変との関係性が明らかになり、dual-taskを用いた課題設定を行う際には脳画像評価を考慮することが重要であることが示唆された。
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