研究課題/領域番号 |
13J09447
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研究機関 | 東京農業大学 |
研究代表者 |
砂見 綾香 東京農業大学, 応用生物科学部, 特別研究員(DC1)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | スポーツ選手 / 疲労 / 免疫 / 上気道炎 / 食事 / 栄養 / 野菜・果物 / 抗酸化物質 |
研究実績の概要 |
高強度運動は酸化ストレス・炎症の増加、免疫能の低下を招くことから、スポーツ選手は上気道炎を起こしやすいことが問題となっている。これに対し、抗酸化物質の高用量摂取による予防の可能性が示されてきた。しかし、日々の食生活という観点から予防策を検討した研究は少なく、実験的介入研究では結果に一貫性がみられていない。そこで本研究は抗酸化物質を多く含む野菜・果物類の摂取量に着目し、大学生アスリートを対象に疫学的手法と実験的手法を駆使してスポーツ現場で実施可能な食生活改善法を確立・提案する事を目的とする。 2年度は習慣的な野菜果物摂取量と、一過性自転車運動後の酸化ストレス・炎症反応との関連を検討した。運動習慣のない健常男性22名を対象に、FFQによる食事調査および70%VO2max強度の自転車運動を60分間実施し、運動前、運動直後、運動30分後、運動60分後の計4回採血をした。血中IL-6、酸化ストレス度(d-ROMs)、抗酸化力(BAP)を測定し関連を検討したところ、運動前の酸化ストレス度(d-ROMs)と運動後のIL-6産生量の間には正の関連があることが明らかになった。運動後のIL-6産生量の増大は、アスリートにおける上気道炎発症のリスク因子の一つである。このことから、運動後のIL-6産生を抑えるためには、運動前に酸化ストレスを抑えることが有効である可能性が示された。さらに、習慣的な野菜・果物摂取量が多いことは、運動後の抗酸化力(BAP)と関わることが示された。しかし、野菜・果物摂取量とd-ROMs値、IL-6値との間に関連はみられなかった。 また、本年度は昨年度報告した「アスリートを対象とした食物摂取頻度調査票の妥当性」を原著論文として投稿した。その他のデータについても、順次論文化する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
運動前の酸化ストレス度(d-ROMs)と運動後のIL-6産生量の間には正の関連があることが明らかになった。さらに、習慣的な野菜・果物摂取量が多いことは、運動後の抗酸化力(BAP)と関わることが示された。
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今後の研究の推進方策 |
先行研究では、野菜摂取により運動後の抗酸化力が維持されること、反対に酸化ストレスやIL-6の産生量が抑えられることが報告されている。しかし、本研究では野菜・果物摂取量とd-ROMs値、IL-6値との間に関連がみられなかった。その要因として、測定日前日の食事内容の個人差、食事調査法に起因する野菜・果物摂取量の測定誤差の影響等が考えられた。したがって、次年度は野菜摂取量増加による介入研究を予定する。
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