研究概要 |
本研究は, 風力発電設備の損傷検知システムの構築を目的として, 入力風速場モデルの高度化および風車構造モデルの精緻化を行うものである. 2013年度の実施内容として, まず入力風速場モデルについて, 従来のものよりも観測値とよく一致するスペクトルおよび相関モデルの提案を行った. また, 銚子観測タワーにおける風速計のデータ整理を行い, これを用いて提案モデルの検証を行った. 入力風速場の乱流モデルは風車の応答解析結果, とくに疲労寿命の結果に大きな影響を与えるものであり, 本提案モデルを用いることで応答予測精度の向上が期待される. 風車構造モデルの精緻化について, 2013年度は銚子沖洋上風車を対象に加振試験を実施し風車の1次固有振動および2次固有振動に対して構造パラメータの計測を行った. 大型風車の1次固有振動については多くのデータが得られているのに対し, 2次固有振動のデータは希少であり, 本研究において今後構造同定手法の精度検証とモデルの精緻化に用いるとともに, 設計基準への反映も期待される. また, 構造モデルの精緻化に加え, 風車運転時の応答解析の際に必要となる制御モデルの作成も行った. 以上の研究は全て銚子沖洋上風車を対象の行い, 2014年度も引き続きモデル化と検証の作業を行っていく予定である. 一方, 2013年7月に京都府太鼓山において陸上風車が疲労破壊により倒壊する事故が発生したのを受けて, 当初の目的に加えて疲労寿命評価を行うために, 倒壊した風車と同じウィンドファームの風車において, 加速度および基部モーメントの計測を行った. 得られたデータは今後モデルの検証に用いる予定である.
|
今後の研究の推進方策 |
今後の研究計画として, 風速場モデル, 風車構造モデルの精緻化を引き続き行う予定である. 最終的な目的を損傷検知としていたが, 2013年7月に京都府太鼓山の陸上風車が疲労破壊により倒壊した事故を受け, 損傷検知に加え風車の疲労寿命評価を研究に盛り込む予定である. 疲労寿命評価には風速場の乱流成分の影響が非常に大きく, また, 損傷検知で想定している数十分間より更に長期にわたるモデルが必要になることから, 年分布のモデルを導入する予定である.
|