研究課題
昨年度に引き続き、今年度も概ね年次計画の通りに研究を実行することができた。まず1つ目の大きな成果として、新たな宇宙論的銀河形成モデルを構築し、それを論文としてまとめ出版することができた。このモデルは宇宙初期から現在に至るまでの銀河形成史を統一的に取り扱うもので、他の同種のモデルと比べて空間解像度が高く、また大きな空間スケールにわたって計算できることがひとつの特徴となっている。またこのモデルの発展形として、星からの放射が星間ダストによって吸収・再放射される機構も取り入れた。これにより、赤外線から電波領域での銀河の観測的性質を理論的に予言することが可能になった。実際、最新の電波干渉計である ALMA で得られた観測データと私が開発した理論モデルの比較を行ったり、また ALMA を用いた新たな観測提案を行うなどの成果を上げることができた。その中で、銀河の性質や形成史を真に理解するためには、星に由来する放射成分だけでなく、星間ガスやダストといったその他の成分についても系統的に調べることが重要であることを示すことができた。その他に、私の開発したモデルを使って、銀河中心に存在する超巨大ブラックホールや、そのブラックホールの活動に由来する活動銀河核といった天体の形成史についても研究を行った。その中で、宇宙初期に形成され、現在観測されている超巨大ブラックホールの種になったと考えられている"種ブラックホール"の性質に制限を与えるなどの成果を挙げることができた。
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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Publications of the Astronomical Society of Japan
巻: 68 ページ: 25,51
10.1093/pasj/psw005
Monthly Notices of the Royal Astronomical Society: Letters
巻: 456 ページ: 30, 34
10.1093/mnrasl/slv169