研究概要 |
本研究の目的は, ①「自閉症者を対象としたパターン認知と視覚的短期記憶における感性特性の影響に関する心理物理的検討, および個人差の検討」, ②「心理物理データ蓄よび個人差に関する生理学的基盤の証明」, ③「感性知能検査の開発」から構成されている。 研究時間およびエフォートの多くは, 研究所における研究課題と日常業務に充てられた。研究所の研究課題としては, 本年度は脳波に着目したニューロフィードバック訓練の導入を試みた。ニューロフィードバック訓練は, 注意などの高次視覚機能の改善を目的とする訓練法である。海外では導入が検討され始めているものの, 日本では学術的検討がなされてこなかった。このため, 注意欠陥多動性障害(ADHD)のある児童に対してニューロフィードバック訓練を実施することは, これらの児童の高次認知機能を検討するために有益であると考えられる。本年度も結果から, ニューロフィードバック訓練に関する一定の効県が認められた。この結果は, neuroReport誌に掲載された。 日本学術振興会特別研究員としての研究課題に関しては, 満足な研究時間とエフォートを充てることはできなかった。したがって, これまで行なってきた研究内容を論文化することに尽力した。これらは研究課題で対象としている自閉症スペクトラムに関する研究であり, 「Journal of Autism and Developmental Disorders誌」を始めとして5本が掲載された。また, 自閉症スペクトラムの早期診断と関連があるとされている低出生体重児の研究についても1本が掲載された。学会発表も積極的に行ない, 発達障害や低出生体重児に関する内容を7つの国際・国内学会で発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画に加えて, ニューロフィードバック訓練による介入方法を身につけられた。このことは, 当初の計画以上に, 新たな研究手法を加えられる可能性がある点において, 順調に進展したと言える。ただし, 本研究課題は平成25年度で終了の予定である。
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