研究課題/領域番号 |
13J09526
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研究機関 | 一橋大学 |
研究代表者 |
浦田 三紗子 一橋大学, 大学院社会学研究科, 特別研究員(DC2)
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キーワード | 海女 / バフンウニ / 日本海 / 流通 / モノ / 実践 / 越境 / 文化生成 |
研究概要 |
本研究の目的は、20世紀に入って朝鮮半島部に出現した海女文化の生成メカニズムを解明する上で、半島部海女の主要な採取物であるバフンウニをめぐる日本と韓国の人々の実践プロセスを明らかにすることを通じ、モノが国境を越えて織りなす文化のダイナミズムに迫ることにある。2013年度はバフンウニをめぐる日本の人々の実践プロセスの検証を主な目的として、福井県坂井市、山口県下関市、長崎県壱岐市で短期の現地調査を行った。各地では、海女・海士によるバフンウニ漁、漁協と卸売業者との取引といった現場での参与観察や、海女・海士・漁師やその親族、卸売業者、塩ウニ購入者等への聞き取り調査、地元図書館での郷土誌・郷土史等の資料調査を行った。これらの調査を通じ、1)福井産・山口産・壱岐産を中心とした日本産バフンウニの流通経路と、下関に流入する韓国産バフンウニの日本における流通経路とその歴史的変化、2)採取・加工・販売・消費といった諸局面において生成されてきた人々の実践、3)バフンウニをめぐる様々な人々の実践とその変化に関連しうる歴史的・社会的・文化的・地理的背景、を明らかにするためのデータを得ることができた。これらのデータをモノという視点にもとついて接合することにより、朝鮮半島部における海女文化の生成を一国史的な枠組みを超えて理解するための知見を提供することが可能となると考えている。 その他、日本で開催された海女サミット(石川県輪島市)や海女文化シンポジウム(三重県津市)での参与観察や、新聞記事・パンフレット等の資料収集を通じ、海女の世界無形文化遺産登録を目的とした動きを把握するためのデータも得ることができた。このような海女文化の「モノ」化とも言える実践プロセスと、バフンウニをめぐる実践プロセスとを結節させることにより、バフンウニをめぐって生成されてきた文化が変成する局面をより多角的に捉えることが可能となると考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
バフンウニをめぐる日本と韓国の人々の実践プロセスのうち、2013年度は日本の人々の実践プロセスの検証ができた。その他、福井以外での調査を通じ、研究課題に対し想定以上の知見を得ることもできた。以上により、本研究はおおむね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
2014年度はバフンウニをめぐる韓国の人々の実践プロセスの研究を進めるため、釜山を中心とした現地調査に取り組んでいく。必要に応じて日本においても補填的な調査を行う。日本・韓国における現地調査で得られたデータを整理・分析するとともに、それらを学会発表や論文を通じて発表していく。
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