研究概要 |
本年度の研究実施計画を以下に記す. i. 人の身体において皮膚の形状・硬度等の変化(視触覚的変化)が顕著に表れる部位に関して調査を行う. 明らかとなった当該部位に対して視触覚的変化を決定付ける主要な筋を選定する, 選定した筋の形状・硬度の時空間的変化特性を詳細に調査することで, 筋アクチュエータMusculus Haptic Display (MHD)設計のための研究基盤を得る. ii. 人の筋の形状・硬度の変化特性を実験によって明らかにする. 得られた結果をもとにMHDのシステムに適した伸縮性, 気密性を持つ表面素材と, 皮膚の感触の再現に適した内部素材の比較・検証を行う. iii. 人工皮膚の製作によってヒトの皮膚の感触の表現を試みる. 人工皮膚に関してはシリコンやウレタン等の成形素材の選定と素材の配合率等を検証する, さらに空気圧調整機構を主とした構成とする制御手法を確立した後, MHDを用いた被験者評価実験を行い本提案手法の有効性を探る. 本年度は, 皮膚の質感・機能を模した視触覚インタフェース開発を行うため, 再現する身体部位の選定, 筋アクチュエータMHDの試作機の開発並びに形状・硬度の制御手法に関する研究を遂行した. 形状と硬度の変化の特徴から実装に適した骨格筋として大殿筋を選定し, 殿部を模したロボットの試作機の開発を遂行した, ロボットの設計は人工骨を基礎として人工皮膚に大殿筋型MHD, 環境センサ, ヒータ, 制御回路が組み込まれた構造を主としており, ユーザからの接触検出を元にインタラクションが行えるソフトウェアの開発を行った. 本年度の研究成果を以下にまとめる. a. 人の身体において皮膚の形状・硬度等の変化(視触覚的変化)が顕著に表れる部位に対する解剖学的, 生理学的知見にまつわる調査 b. 調圧機構により形状と硬度の変化を再現する筋アクチュエータMHDの設計開発 c. 大殿筋型筋アクチュエータの試作機の開発とロボットへの実装 d. ユーザからの接触検出にもとづいたインタラクションが行えるソフトウェアの実装
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今後の研究の推進方策 |
本年度に実施された研究で得られた知見をもとに, 今後は筋アクチュエータの制御手法と素材の検証, 実装を行うロボットの身体部位の拡張, 並びに筋アクチュエータの入出力と視触覚インタフェースを効果的に関連付けるための知見をさらに深め, 新たなインタラクション手法を提案するシステム開発のための基盤確立を目指す.
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