近年、ブロードバンドの無線通信規格が増加・普及している。このような複数のブロードバンド通信規格を同時に処理する受信機では、ますます非線形ひずみの影響が顕著になり、想定したシステム性能が得られなくなると考えられる。しかしながらこの分野の研究は、その複雑性ゆえ、ほとんど手がつけられていない未開拓の分野である。 ディジタル信号処理を使って受信非線形ひずみを補償する技術が可能になれば、受信性能を大幅に改善することが可能になる。ディジタル信号処理技術を用いて受信機の非線形補償を行う方法を新たに開拓することが研究の大きな目的であり、その波及効果は無線通信の将来的な発展に無くてはならないものと言える。 本研究より、投稿した3件論文はいずれもIEEEの国際的に著名なトップジャーナル(IEEE Transactions on Microwave Theory and Techniques2件、IEEE Transactions on Circuit and Systems1件)に異例の短期間の査読で採録決定がなされており、これは論文内容のレベルの高さとインパクトの大きさを物語っている。私は国際会議へも積極的に論文投稿しているが、2012年のIEEE Vehicular Technology Conference (VTC)2012-Springに投稿した論文は、IEEE VTS Japan 2012 Student Paper Awardを受賞し、大変高く評価されている。更に、IEEE Transactions on Microwave Theory and Techniquesに発表された論文「FPGA implementation of adaptive digital predistorter with fast convergence rate and low complexity for multi-channel transmitters」が IEEE MTT-S Japan Young Engineer Awardを受賞しました。
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