研究課題/領域番号 |
13J09628
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
下河 有司 東京大学, 工学系研究科, 特別研究員(DC2)
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キーワード | インクジェット / 加熱・濃縮 / 気体の粘性 |
研究概要 |
ガラスノズルから微小な液滴を吐出するインクジェット装置を作製した。作製したインクジェット装置は、液柱をPlateau-Rayleigh不安定性を利用して分裂させるコンティニュアス型と、ガラスノズルに与えた衝撃を利用して液滴を吐出させるオンデマンド型の二種類である。前者は毎秒数十万個の液滴を高速に生成し比較的安定に液滴を吐出することが可能であるが、個々の液滴を操作することは難しい。一方、後者は一定時間に生成できる液滴の個数は少ないが、任意のタイミングで一個の液滴を生成することが可能であり、個々の液滴の飛翔速度などを制御することは比較的容易にできる。今回作成したインクジェット装置では、用途に合わせてこの二つの方式を簡単に切り替えられるようにした。 本研究ではインクジェット装置によって生成した液滴を空中で加熱することによって、液滴に含有される溶媒分子の蒸発を促進させ、溶液を濃縮させることを目指している。この加熱時間を長く取れるほど液滴から蒸発する溶媒の量が増加するため加熱後の溶質濃度が高くなるが、この加熱時間を制限しているのは飛翔する液滴が減速することによる不安定化である。ノズルから吐出されて飛翔している液滴は、周囲の気体の抵抗を受け、数ミリ秒程度の時間で減速し安定性を失ってしまう。通常は空気中で実験を行うが、空気よりも粘性の低い気体の中で実験を行うことによって、液滴が安定して飛翔する時間を延ばすことができると期待される。そこで周囲の気体の粘性が液滴の飛翔の安定性に及ぼす影響を調べるため、気体の粘性を簡便かつ精度よく測定できる装置を開発し、液滴の吐出に適した気体(種類や混合割合)の選定を独自に行える環境を整えた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
コンティニュアス型・オンデマンド型のインクジェット装置を作製し、実験を行える環境はほぼ整った。しかし色素を混合した水をレーザーで加熱する方式では液滴径の変化がカメラでは確認できていない。これは加熱時間が短すぎるためと考えられ、加熱時間を延ばすためには周囲の気体の抵抗による減速・不安定化を抑える工夫が必要と考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
カメラの映像では加熱による液滴径の縮小が確認されていない点は、加熱時間の不足が原因として考えられる。加熱時間を延ばすためには周囲の気体の抵抗による減速を抑え、液滴が安定に飛翔できる時間を延ばすことが必要と考えられる。そこでインクジェット装置から吐出された液滴をより安定に飛翔させ、液滴の加熱時間を延ばすのに有効な力学特性を持つ気体を選定する。また周囲の気体の温度を上げる、細いノズルを使い初期の液滴径を小さくするなど溶媒の蒸発を促進させる工夫を行う。
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