特別研究員としての期間、以下の主に2つの課題に取り組んだ。 1. 英語学習者に対する多肢選択問題の自動生成 本課題では、英語学習者の語彙知識を測定するための多肢選択問題を自動で生成する新しい方法を提案した。具体的には英語学習者の作文コーパス(データ)であるLang-8コーパスから、実際に学習者が間違えた単語対をもとに、文脈に応じた錯乱肢(正解ではないが学習者を惑わせる選択肢)を抽出するという方法である。 生成された問題に対する客観的な評価指標である「信頼性(複数の正答が生成されないこと)」及び「妥当性(学習者の英語能力に応じた正答率になること)」において、提案手法は従来手法に比べて高くなることを示した。 この成果は、計算言語学・自然言語処理分野での国際会議であるAnnual Meeting of the Association for Computational Linguisticsに採択された。(採択率24%) 2. 外国語学習者作文に対する誤り訂正および、学習者の母語推定 上記1と並行して、外国語学習者作文に対する誤り訂正および、学習者の母語推定に関する課題にも取り組んだ。それらの成果については下記の通り国際ワークショップ(2件)へ共著として貢献した。 以上のような取り組みを行って来たが、これらは本研究課題である「非英語母語話者作文に対する頑健な解析手法と英語論文自動添削への応用に関する研究」の一部分に過ぎず、現状で十分な成果が出ているとは言えない。本課題については、学振辞退後も留学先において引き続き自身の研究課題の1つとして継続していく予定であり、今後の進展を見守っていただければ幸いである。
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