私は、哺乳類が持つUV光受容体OPN5に注目し、OPN5の分子レベル・個体レベルの機能を解明することにより哺乳類におけるUV光受容メカニズムに迫る、ということを本研究課題の目的とした。本年度においては、特に分子レベルの機能解析として、OPN5発現細胞を蛍光標識した遺伝子組換えマウスを用いたカルシウムイメージングを行うことを計画していた。培養細胞を用いたイメージング系の至適化は予定通りに進めることが出来たが、組換え遺伝子を持つ個体をなかなか得ることができず、生体に発現するOPN5のUV光に対する応答を検出する段階までは進むことができなかった。 遺伝子組換えマウスの作製が遅れた代わりに、次年度に実施を計画していた個体レベルでの解析を先行させた。OPN5発現部位におけるUV光生理応答の先行研究を参考に、OPN5が寄与する生理現象を探索した。OPN5が比較的に強く発現している眼に対してUV光を照射し、様々な生理応答について検出を試みた。その結果、当初は予想していなかったUV光応答を検出するに成功した。またこの応答がOpn5遺伝子欠失マウスにおいては消失することから、OPN5がこのUV光応答において重要な役割を果たしていることが示された。 これらことは、OPN5が担う生理的役割を解明するため、ひいては哺乳類におけるUV光受容の生理的意義に迫るための足がかりとなる重要な成果である、と考えられる。現在、この成果を論文として発表する準備を進めている。
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