研究課題/領域番号 |
13J09662
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
水上 香織 東京大学, 人文社会系研究科, 特別研究員(DC1)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 植民地期インド / 移民 / パンジャーブ / 人口変動 / 北米太平洋岸 |
研究実績の概要 |
2014年度には、20世紀初頭に北米やアジア諸地域のインド系移民が関わった国際的政治事件である「駒形丸事件」や「ガダル運動」の100周年を記念した会議が世界各地で開かれたため、これまでの研究の成果を発表する機会が多く得られた。駒形丸事件に関しては、カナダのヴィクトリア大学で開催された国際会議において、駒形丸の船主であり事件発生時に駒形丸に乗船していた鹽崎與吉の手記および伝記について発表した。ガダル運動に関しては、パキスタンのラホール経営大学で開催された第10回人文社会学部会議と、インドのパンジャービー大学で開催された第47回パンジャーブ歴史会議において、日本外務省外交史料館所蔵のガダル運動関係史料について報告した。パンジャーブ歴史会議での発表時には現地の新聞記者に報告内容の取材を受け、同内容は2015年3月2日のチャンディーガール版タイムズ・オブ・インディアに掲載された。ヴィクトリア大とパンジャービー大においての発表内容についてはそれぞれプロシーディングスに収録される予定がある。 また、研究実施計画に則り、7月末からはインドのジャワハルラール・ネルー大学に所属するムリドゥラ・ムカジー教授の指導のもとでインドにおける留学を開始した。ジャワハルラール・ネルー大学では、20世紀初頭にインド亜大陸の中でも特に北米への海外移民を多く輩出したパンジャーブ中部のジャランダール、ホシャールプール地域に焦点を絞り、同地域の19世後半以降の人口変動や農民の負債に関する基礎情報を収集し始めた。史料収集にあたってはインドのパンジャーブ州立文書館での調査を行い、19世紀後半以降のパンジャーブに関する飢饉関係報告書、協同組合に関する報告書等を閲覧、収集した。さらに、パキスタンのラホールに位置するパンジャーブ文書館においても予備的な史料調査を行い、関係史料の閲覧および撮影を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究の進展に伴い海外移民の動向よりも移民送り出し地の状況の方に分析の重点が移ってきているが、移民ネットワークを根本から理解するためには必要な作業であり、全体的な目標の達成に向けて研究が進展していると言える。
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今後の研究の推進方策 |
19世紀末から20世紀初頭にかけてのパンジャーブに関わる人口変動の要因について検討を継続する。特に、国内移民と国外移民の関係性、すなわち、ジャランダール、ホシャールプール地域から英領期以降パンジャーブ内に新設された用水路入植地へ移民した人々と、20世紀初頭に北米やオーストラリアといった海外へ移民した人々の間に、カーストや経済状況に関する相違点があったのかどうかについて検討する。
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