学術振興会特別研究員としての最終年度は、以下の研究成果を公表することができた。 まず、博士論文第五章の元になった論文「浅論《梁発伝》各版本的異同:以四個版本為中心」『宗教人類学』(第5号、2014年、301―323頁)を発表した。この論文では、1930年代に中国語及び英語で出版が相継いだ梁発に関する伝記の執筆背景、書誌情報を整理するとともに、内容の異同についての詳細な考察を行った。 つぎに、私がこれまで研究してきた在外地域における中国人の問題について、一般向けのコラム「華僑が織りなす近現代史:過去から現在へ」(倉田徹・吉川雅之編『香港を知るための60章』明石書店、2016年、167-171頁)を執筆した。学術的内容ではないが、一般社会に学術研究の成果を還元するという観点で執筆にのぞんだ。 最後に、近年出版された倉田明子氏の著作書評を執筆した。本書評執筆を通じて、中国におけるプロテスタント伝道初期の知識伝播と中国人信者の役割について改めて理解を深めることができた。 これ以外に、一年の大部分は博士論文公刊のための改稿作業を進めると同時に、非常勤授業や招聘講義の準備などをおこなった。
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