研究概要 |
(1)DGKβ欠損マウスを用いた、てんかん感受性の検討 痙攣誘発薬であるカイニン酸、ペンチレンテトラゾールを投与し、その後のマウスの行動変化を評価した。結果として、DGKβ欠損マウスはペンチレンテトラゾール誘発、カイニン酸誘発痙攣において、野生型マウスより重篤な症状を示すことが明らかとなった。 (2)てんかん発生時のDGKβの変化の検討 野生型マウスを用いてペンチレンテトラゾール投与後の海馬におけるDGKβの局在、発現量について、免疫染色法、ウェスタンブロット法を用いて検討した。結果として、ペンチレンテトラゾールを投与してから20分後のDGKβの局在に変化は認められず、またDGKβの発現量に変化は認められなかった。 (3)DGKβ欠損マウスの海馬における抑制性神経数の検討 野生型マウス、DGKβ欠損マウスの脳を用い、薄切切片を作製し、抑制性神経マーカー(parvalbumin)により免疫染色を行い、陽性細胞数について検討を行った。結果として、DGKβ欠損マウスの海馬、特にCA3領域において、パルブアルブミン陽性抑制性神経細胞数の減少が認められた。 この抑制性神経細胞数の減少がDGKβ欠損マウスの痙攣感受性増大の要因の一つであると考えられる。 これらの研究成果は以下の論文として公表した。 Ishisaka M., Tsuruma K., Shimazawa M., Shirai Y., Saito N. and Hara H. Increased seizure susceptibility in a mouse with diacylglycerol kinase β deficiency. Neuroscience & Medicine, 4, 117-122, 2013.
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