研究実績の概要 |
今年度は幾つか論文を完成させることができた。一つ目の論文である「Does retirement change life style habits?」はJSTARという日本の高齢者のパネルデータを用いて、高齢者の引退行動と健康投資活動について研究している。日本を初め先進国では少子高齢化が進展しているため、高齢者の医療健康問題は経済学のみならず公衆衛生学等でも注目を集めている。この論文では具体的なモデルは提示できなかったものの、高齢者が引退後に健康投資活動を促進することをデータを用いて定量的に検証することができた。これはEibich (2015, Journal of Health Economics) を除き海外でもまだほとんど手付かずの研究分野であり、価値がある研究と思われる。これは日本経済学会春季大会やRAND研究所での学会にて発表することができた。この論文はJapanese Economic ReviewとRIETI Discussion Paperに掲載が受理された。他にもこの論文の要点をまとめたものが、海外のVoxEUという経済学の研究を紹介するコラムに掲載される等、一定の評価を得ることができた。 現在はこの論文を国際比較に拡張し、また認知能力と引退行動の関係を分析する論文を執筆する等、政策的にも重要な研究に取り組んでいる。また別に教育経済学の分野でも論文を執筆した。 1年目から取り組んでいる企業の労働需要の実証研究「A Test of The Disparity of The Job Turnover Rate between Permanent Workers and Temporary Workers in Japan」は最終年にアジア開発銀行での学会で発表できたものの、進捗は少し遅れている状況である。学会で重要な問題点を指摘されたため、今はその改善に取り組んでいる。
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