研究課題/領域番号 |
13J09813
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研究機関 | 横浜市立大学 |
研究代表者 |
大久保 牧子 横浜市立大学, 医学研究科, 特別研究員(DC2)
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キーワード | 放射線化学療法 / 腫瘍再発、再増殖 / CD11b+骨髄単球細胞 / M1, M2マクロァージ |
研究概要 |
放射線化学療法後に腫瘍内に遊走されるCD11b+骨髄単球細胞が直接、腫瘍の再発や脈管形成に関わっているかを中心に解析を行ってきた。 以前、口腔扁平上皮癌患者の病理組織標本を用いてCD11b+骨髄細胞に対する免疫染色を行った所、放射線治療後に残存、再発した腫瘍において多くのCD11b+骨髄細胞が流入していることが確認された。しかし、患者の病理検体は採取時期が一定ではないため、新たに担癌マウスを作成し、これらの細胞群が腫瘍内に遊走されるタイミングを検証した。BALB/c nu/nu ♀ 6週齢マウスの背部皮下にOSC-19細胞を移植し放射線照射 12Gy を施行した。腫瘍は一旦縮小、消失した後、再発、再増殖した。照射なしコントロール、照射後1日、照射後1、2、4、6、8週にグループ分けし、時系列で腫瘍を採取し、腫瘍内微小環境を様々なマーカーを用いて免疫染色にて評価した。 結果、CD11b+骨髄細胞は腫瘍の再発、再増殖が開始される直前にあたる照射後2週目で最も多く腫瘍内へ遊走されていた。また、CD11b+細胞群のうち、より腫瘍の血管形成に関与するとされるTie2+の細胞群も照射後2週目の腫瘍において最も多く認めた。さらに、M1、M2Mφに関しても検証を加えたところ、こちらも照射後1、2週目の腫瘍検体においてCD11b+/CD206+/CD68+M2Mφの存在が確認された。 よって、照射後1~2週目の時期が、後に腫瘍が再発、再増殖する為の環境を整える時期と考えることができるため、その時期に骨髄細胞の流入やM2Mφへの分化を阻害するような物質を投与すれば腫瘍の再発、再増殖を効果的に抑制できると考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
腫瘍が再発、再増殖する放射線線量の検討、抗体の条件検討等に時間を要したため
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今後の研究の推進方策 |
今後は骨髄細胞のM1、M2マクロファージへの分化のメカニズムと、それらがどのようにして腫瘍血管の再形成に関わっているかの解明を中心に研究を進めていく。 マウスマクロファージの細胞株や、マウスより採取した骨髄細胞、それを分化させたマクロファージを用いてまずはin vitroでの検証を十分に行ったのち、in vivoでより臨床を反映させた実験を行っていく。
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