研究課題
平成25年10月に発生した、動物施設におけるウイルス感染事故により、動物実験を中断せざるを得なくなり、実験の遂行に大きな遅れが生じた。平成26年度は、その遅れを完全に取り戻すまでには至らなかったが、研究期間内に本研究を形にすべく尽力した。これまでの研究により、幼若期マウスへの放射線照射により誘発されたTリンパ腫では、成体期の場合と比較して、がん抑制遺伝子Ptenの突然変異が高頻度であること、さらにはPtenのヘテロ接合性の消失(LOH)がゲノムのコピー数変化を伴わずに生じていることを明らかにした(Sunaoshi et al. 投稿中)。そこで本研究では、幼若期および成体期マウスへの放射線照射後の胸腺の回復動態を解析することで、Tリンパ腫において、被ばく時年齢依存的な異常が生じた原因を明らかにすることを目的とした。平成26年度の研究により、幼若期では、放射線照射後の胸腺の回復に伴う細胞増殖活性が成体期よりも高い可能性が示唆された。この結果は、幼若期の放射線照射後に生じたTリンパ腫では、照射後の細胞増殖レベルが高いことで、染色体組換えや不分離を介したゲノムのコピー数変化を伴わないLOHが生じた可能性を示唆する。また、Ptenの異常が原因で活性化されるPI3Kシグナリング経路の活性化レベルを、AKTのリン酸化を指標として解析する予定であり、現在、条件検討中である。本研究結果は、平成26年9月にアメリカで開催された国際学会においてポスター発表を行った。また、投稿論文を執筆時に追加実験が必要となり、論文の投稿が当初の計画よりも遅れたが、現在までに論文の投稿および査読が完了し軽微な修正で論文が受理される見通しである。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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