研究課題
鞭毛・繊毛は基底小体から伸長した微小管骨格によって構成され、その内部構造、「軸糸」は進化的によく保存されている。運動性繊毛・鞭毛では、9組の周辺微小管に軸糸ダイニンが規則正しく結合している。これらのダイニンが隣接する周辺微小管と滑りを起こし、屈曲波を生みだす。さらに、軸糸ダイニンが周辺微小管上の特定の位置に一定の間隔で結合していることで、屈曲波は鞭毛・繊毛の基部から先端へと伝播していく。このうち鞭毛打出力の約7割を生み出しているダイニン外腕は 24 nm 間隔で周辺微小管に結合しているが、その周期性が構築される仕組みは今まで明らかになっていなかった。本研究によって、外腕ダイニンの微小管結合に必須なドッキング複合体 ODA-DC の大きさ自体が 24 nm であり、 ODA-DC が微小管上に協同的に結合していくことが明らかになった。これによって、ダイニン外腕の 24 nm 周期の配置は、大きさが 24 nm の ODA-DC が協調的に周辺微小管上に結合していくことでその基礎が作られることが明らかになった。この成果は Proc. Natl. Acad. Sci. USA 誌にて発表された(発表論文欄参照)。また東京大学・東京工業大学による共同プレスリリースも行われ、2014 年 7 月 18 日発行の科学新聞一面に掲載された。さらに、ODA-DC と相互作用していると考えられる蛋白質 p60 について、京都大学との共同研究によって完全欠失突然変異株を単離した。この株は野生株と比べて鞭毛打頻度と遊泳速度が有意に低下しており、その表現型は外腕ダイニン異常株 oda11 に酷似している。これらのことから、機能未知の新規軸糸蛋白質 p60 は外腕ダイニンの配置や regulation に作用している可能性が示唆された。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2014
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 謝辞記載あり 1件)
Proc. Natl. Acad. Sci. USA
巻: 111(26) ページ: 9455-9460
10.1073/pnas.1403101111