研究課題
色素増感太陽電池は無尽蔵な太陽光エネルギーから電気エネルギーを生み出す非常に有望なデバイスであり、学術面のみならず産業界でも非常に注目されている。本研究では、可視光応答型の多孔性金属錯体(MOF)を用いて光電極を作製し、有機リンカーから金属酸化物クラスターへの電子移動を利用して、新規色素増感太陽電池の構築を行うことを目的としている。2年度目は、MOFを色素増感太陽電池の光電極として応用することを目指して、初年度に明らかにした有機リンカーから金属酸化物クラスターへの電子移動メカニズムを設計指針に用いて可視光応答型MOF光触媒の調製とそれらを用いた光電極の作製を行った。新規MOF光触媒の調製では期待通りの成果が得られた。光電極の作製については当初の予定より若干の遅れが見られるが、最終年度につながる研究成果が得られつつある。得られた成果は積極的に発表を行っており(掲載済み論文4報、投稿中および投稿準備中論文2報、国内学会発表8件、国外学会発表3件、受賞1件)、国内外の研究者からも注目されている。また、MOFの光電極や光触媒への応用展開に関する研究以外にも、新規な触媒材料の創製及び触媒反応系の開発を行った。これらについても既に論文発表、学会発表を行うに至っており、今後、そこで得られた材料化学的な知見を本研究課題にフィードバックすることで、さらに高機能な材料開発の実現と光電極の作製が期待される。
2: おおむね順調に進展している
本補助金の支援もあり、適切な実験環境をいち早く整えることで円滑な研究活動が行えている。また、研究室内の共同実験者とうまく連携して実験を行えたことも本研究の順調な進展に寄与している。
最終年度は、これまでに得られた電子移動メカニズム関する知見および新規な可視光応答型MOF光触媒を用いて実際に色素増感太陽電池のセルを作製し、その特性を評価していく。また、初年度及び次年度に得られた成果についてもさらなるブラッシュアップを行うとともに、論文投稿等の発表についても積極的に行っていく。加えて、その他のMOF材料を用いた新規な触媒開発及び触媒反応系の開発も行い、幅広い分野に影響を与えることができるよう研究活動を行っていく。
すべて 2015 2014
すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件、 謝辞記載あり 4件) 学会発表 (11件)
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