本研究の目的は、物質等が自己重力で重力崩壊した結果どのような時空が実現され、またその時空の性質を明らかにすることである。 本年度は以前から試みていた、運動方程式が2階になる最も一般的な複数スカラー場+重力理論の構築を完成させた。そしてその理論でのブラックホール時空の基本的な性質、特に因果構造やショックの形成についての研究を行った。結果としては、因果構造は一般相対性理論のものとは大きく異なり、またショックも一般的に形成される事を明かにした。 重力崩壊の終状態であるブラックホール時空の研究としては、高次元重力理論であるLovelock重力理論での厳密解を構成し、動的な性質の研究も行った。結果として、一般相対性理論では見られないような解の静的・動的な性質を明らかにし、かつ時空を特徴付ける量の定義も行った。 重力崩壊の最終状態のもう一つの候補である裸の特異点に関する研究としては、5次元時空で形成される特異点の可視性についての研究も行った。結果としては、裸の特異点の形成されるパラメータ範囲・ブラックホールが形成されるパラメータ範囲、それぞれの特定に成功した。
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