現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
おおむね順調に進展していると考える理由として、問題と解決法が明確であること、現在取り組んでいるパラメータの最適化については順調に進んでいることなどが理由として挙げられる。 1. 問題と解決法 (問題点1)一般に、分子間の相互作用を考える際には二種類の自由度を考慮する必要がありこれらを網羅する必要性がある。一つの自由度は(i)分子内結合角の回転に依存した立体配座の自由度、もう一つは(ii)二分子間の位置関係を決定する自由度である。(問題点2)分子間相互作用をシミュレーションする代表的な手法の一つに分子動力学法(MD)がある。しかし、分子の並進運動を網羅するためには計算コストが高く、探索可能な時間範囲は数十nsにとどまる事が殆どである。(解決法1)分子力学の立体配座探索を用い、各分子の安定な立体配座を得ることで(問題1-i)の自由度を考慮する。(解決法2)分子1の向き(θ,φ)と分子2の向き(θ',φ')を変数とし、分子の距離(r)を一定の値にした時の二分子の位置関係をグリッド化し、各条件(θ,φ,θ',φ')でMDを行うことで、並進運動による空間的な二分子の位置関係の場合を考慮する。これにより(問題点1-ii)の自由度も加味しつつMDのシミュレーション時間の問題を解決することが可能である。 2. パラメーターの最適化 分子力学法・分子動力学法を用いるのには各原子のパラメーター(今回の場合は結合長、結合角、二面角の値と力定数の決定)が必要となる。本研究で用いている分子はケイ素を含み、ケイ素原子に関わる分子のパラメーターは十分に確立されているとは言えない。現在は量子力学法から得られたモデル分子の構造・振動子計算を元に、パラメーターの最適化を行うためのプログラム作製に取り組んでおり、結合長、結合角の値を最適化する事に成功している。
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