次世代データマイニング手法としての学習分類子システム(Learning Classifier System: LCS)の基盤技術確立に向けて,本年度は,実問題に対して有用なLCSの設計を可能にする「学習戦略に基づくLCSの設計論」を導入した.そして,同設計論に基づいて,採択一年目ならびに二年目で開発した個別化による学習分類システム(XCS with Adaptive Action Mapping: XCSAM)を拡張し,介護支援問題に適用可能なLCSを開発した. 導入した設計論は,1)LCS分野において学習戦略の違いがLCSの学習性能に与える影響について明らかにするとともに,2)実問題で想定される問題の性質(入力長やクラスの偏り)に応じて適切な学習戦略を設計すればLCSの学習性能が向上することを提唱するものである. また,介護支援問題として介護施設入居者の深夜徘徊の検出を想定した生活行動認識問題に焦点を当て,同設計論に基づきLCSを開発した.導入したLCSは,従来のLCSよりも最大で8%認識精度が向上することを示した. また,設計論に関して,国際学会1件(IEEE Congress on Evolutionary Computation 2015)にて口頭発表,国内学会1件(SICE システム・情報部門学術講演会2015)にてポスター発表をそれぞれ行い,研究成果を発表している.また,前年度の研究成果である最適解の識別理論について,国内学会1件(第9回進化計算研究会)にて口頭発表を行った.
|