1. 調査・学会参加 本年度は、16世紀オスマン朝下の鉱業の実態を明らかにすることを目的とし、その史料調査および史料読解を主な課題とした。調査の対象としたのは、トルコ共和国イスタンブル所在の首相府オスマン公文書館、スレイマニエ図書館、ボスニア・ヘルツェゴヴィナ所在のカーズィ・フスレヴ・ベグ図書館、クロアチア共和国所在のドゥブロヴニク国立文書館である。首相府オスマン公文書館では、オスマン朝の鉱業に関する情報が得られる文書の網羅的な調査と収集を試みた。同文書館には、オスマン朝の行政文書が多数保存されており、主に行政部局ごとに整理され保管されている。まずは対象とする鉱業開発事業がどの部局の文書の中に記録されているのかを調査し、それらの文書のリスト化と収集・読解を進めた。また2014.10.7-11にブダペシュトで開催されたCIEPO(21th Symposium of the Comite International des Etudes Pre-Ottomanes et Ottomanes)に参加した。そこで多くの、国外のオスマン史研究者と情報交換を行うことができた。
2. 研究成果報告 上記内容に関する報告は、2015年10月14-17日にトルコ共和国サカルヤ大学で開催されるInternational Congress on Ottoman Studiesにおいて発表予定である(査読済)。また今秋に発刊予定の『(仮)輪切り世界史』の第3巻の執筆を担当し、1450年から1750年までの世界史の叙述を行うと同時に、本研究の課題である16世紀ごろの鉱産資源をめぐる人・モノ・資本の移動について、上記の現地調査や研究報告の成果を盛り込み、執筆を行っている。
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