研究課題
緑茶はいれて時間が経つと渋くなると言われている。非常に興味深いことに、渋味のセンサーのTRPA1及びTRPV1は、EGCGそのものでは活性化されず、酸化EGCGで強い活性化が起きた。そしてEGCGの酸化物の中から、テアシネンシンA (TS-A)がTRPチャネルを活性化させる物質の一つであることを見出した。さらに、TRPA1及びTRPV1が発現しているマウスの後根神経節細胞は、渋味物質の酸化EGCGやTS-Aで活性化しその応答はTRPA1及びTRPV1の特異的な阻害剤(AP-18, CPZ)で抑制された。即ち、渋味物質はこれらのTRPチャネルを介して感覚神経を活性化することが実証された。一方、TRPチャネルは、動物種によって化学物質への感受性に違いがあることが多数報告されている。TRPA1はN端側に16個のAnkyrin repeat (AR)とC端側に6回膜貫通ドメイン(TM)を持ち、TRPV1はN端側に6個のARとC端側に6TMを持つ構造をしている。そこで各動物種のTRPチャネルの酸化EGCG応答性を検討した。その結果、TRPA1は、ほ乳類が酸化EGCGを感知でき、鳥類からは感受性がなくなる。TRPV1は鳥類まで酸化EGCGを感知し、は虫類から応答性がなくなることが判明した。そこで、酸化EGCG応答性を持つTRPチャネルと応答性を持たないTRPチャネルの間でAR領域とTM領域をスワップしてキメラTRPチャネルを作成した。すると、ニワトリTRPA1のTM領域を持つキメラは酸化EGCGに応答せず、マウスTRPA1のTM領域を持つキメラは酸化EGCGに応答した。また、ヘビTRPV1のTM領域を持つキメラは発現できず、ラットTRPV1のTM領域を持つキメラは酸化EGCGに応答した。これらの結果から、両TRPチャネルの酸化EGCG感知部位はTM領域にあることが示唆された。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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