研究課題/領域番号 |
13J10331
|
研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
石川 敬章 東北大学, 理学研究科, 特別研究員(DC1)
|
キーワード | 不均一系触媒 / 合金触媒 / 多孔質材料 / 金属触媒 / ヒドロシリル化反応 / ナノポーラス金 / 金触媒 / ナノ材料 |
研究概要 |
昨年度は主に、3次元的なスポンジ構造からなるナノポーラス金に対し、微量の異種金属が与える影響について調査した。ナノポーラス金を触媒としてヒドロシリル化反応を行った場合は、金銀合金より作成したものと金アルミニウム合金から作成したものとでその触媒活性が約4倍異なることを見出した。この原因について調査すると、金銀合金より調製したナノポーラス金に約2%含まれる銀によって反応活性が阻害されていることを明らかにした。一方で金アルミニウム合金より調製したナノポーラス金はこのような阻害作用がおきないために、高い触媒活性と選択性を持ち、有用なヒドロシリル化反応触媒として働くことを明らかにした。このような非常に微量な金属による異種金属効果は報告例が殆ど無く、また今後、パラジウムやチタンなどの金属によるドーピングを行う際に考慮する必要がある。 また、昨年度はナノポーラス金に対するパラジウムの添加を行った。これは、金パラジウムアルミニウムの三種合金より、アルミニウムのみを選択的に溶出させることで作成した。本触媒を用いて共役エノン類への1,4-ヒドロシリル化反応を行った所、本触媒がナノポーラス金、ナノポーラスパラジウムのどちらとも異なる反応選択性を示すことを明らかにした。合金ナノポーラス金がこのような特異な反応選択性を示す理由について検討した所、金とパラジウムの間で電子のやりとりによる電荷の偏りが生じていることを突き止めた。このような合金効果によって、金パラジウムナノポーラス触媒の反応選択性が向上し、高い触媒活性と選択性を示すと考えられる。 これらの結果はナノポーラス金触媒の製法に由来する特徴を活かした研究であり、本年度以降の研究の発展に大きく貢献することとなると確信している。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
昨年度は、ナノポーラス金に異種金属が及ぼす影響について2本の論文を出すことができた。さらに、そのうち一方の銀及びアルミニウムといった残留金属が触媒活性に大きな影響を与えるという結果は、今後光触媒活性を得るためにチタンやジルコニウムといった金属を扱う際に非常に重要となる。初年度にこのような結果を得られたことで、2年目以降の研究の進展に非常に良い影響をあたえると考えられるため。
|
今後の研究の推進方策 |
本年度はナノポーラス金触媒の光反応への応用について重点的に研究を行う。初年度に得られた異種金属残存が反応活性に大きな影響を及ぼすことを考慮すると、アルミニウムのみならず、亜鉛やスズと言った合金からナノポーラス金を作成し、評価することが必要になる。初年度に重点的に行った合金触媒の開発については初年度に行った貴金属の添加に加え、卑金属類の添加を試みる予定である。
|