構造分析に関する研究状況として,PageRank収束曲線を用いて,1)ネットワーク構造変化指標,2)ノード多様性指標を提案した.1)ではネットワークの構造が変化した際に,PageRank収束曲線も変化し,その変化量をもってネットワーク構造変化が与える影響の指標として確立した.2)ではPageRank収束曲線のばらつき度をノンパラメトリックk-means法を用いてクラスタリングし,そのクラスタ数によりノードの多様性を定量化する指標を提案した.これらの構造変化の影響度指標やノード多様性指標は,ネットワーク構造を分析するにあたり有用な情報となることを実験により示し,研究成果を発表した. 構造推定に関する研究状況として,昨年度中に確立した無向ネットワークに対するMixingMatrixに基づく構造推定法の弱点である,推定ネットワークの非連結性を克服した.連結性が保証されず,平均ノード間距離などのマクロ指標の観点では異なる性質のネットワークが推定されてしまう問題があったが,1)隣接行列の要素の値を実数値に緩和した行列を推定し,2)最小全域木構築法をベースに全ノードが単一コンポーネントになることを保証した.3)次いで,次数制約に不足するリンクをk-NNネットワーク構築法をベースに量子化することで上述の問題点を克服した. これらの研究成果を国際ワークショップPKAW2014に投稿し採録された.最後に,昨年度までの構造推定法と上述した連結性を保証した推定法,ならびに,コミュニティ正解率という評価指標に関する研究成果をまとめ,日本データベース学会和文論文誌へ投稿し採録された.
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