研究課題/領域番号 |
13J10515
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
内藤 瑞 東京大学, 大学院工学系研究科, 特別研究員(DC2)
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キーワード | siRNA / 合成高分子 / 核酸治療 / フェニルボロン酸 |
研究概要 |
ポリエチレングリコールとポリカチオンであるポリリシンからなるブロック共重合体の側鎖にフェニルボロン酸を導入した合成高分子とsiRNAとを水中で混合することで前例に無いほどの安定性をもったsiRNA内包ミセルの調整に成功した。当該ミセルを、マウスの血中へと投与したところ肝臓などへの非特異的な集積は確認されず従来のキャリアに比べて非常に高い血中での滞留性を示した。また、側鎖へと導入するフェニルボロン酸の種類を変えたところ、低いpKaを有するフェニルボロン酸を修飾したミセルの方がポリアニオンやタンパク質に対する安定性が高く、血中内での安定性も高まっていることが示唆されている。 また、がん細胞指向性を高めるインテグリンに対するリガンド分子、cRGDペプチドをミセル表層へと導入したミセルは高い安定性を維持したまま細胞質内への移行の促進に成功し、ヒト子宮頸癌細胞(He la細胞)に対して有意なsiRNAによる遺伝子発現抑制効果を示した。また、ポリカチオン鎖をポリリシンからエンドソーム脱出能の高いポリアスパラギン酸誘導体へと変えることで更なる遺伝子発現抑制効果を示すことが確かめられ、安定性を維持したままin vitroでのsiRNAを用いた遺伝子発現抑制効果を示すデリバリーキャリアの調整に成功した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度の結果をもとに来年度のマウスを用いたin vivo での実験を検討可能であり、順調に進呈している。
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今後の研究の推進方策 |
変更点は無く、今年度の結果をもとに、マウスの体内でのsiRNA内包ミセルのさらなる動態制御を行い、生体内において実際に核酸治療を行い、具体的には皮下に腫瘍を作成したモデル動物(マウス)へ治療効果を持つsiRNAを内包したミセルを投与し、腫瘍の増殖抑制効果を調べる。
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