研究課題
加齢がリスク要因となるがんの多くは、ゲノム不安定性を伴って発症する。ゲノム不安定性は染色体不安定性(CIN)とマイクロサテライト不安定性(MSI)に大別される。ミスマッチ修復(MMR)欠失下ではマイクロサテライト領域に繰り返し回数の異常(MSI)と高頻度の変異導入が認められるが、それらの誘導機構は不明であった。本研究課題では、MMR欠損細胞を用いてMSI導入機構及び、高変異形質の獲得過程を明らかにすることを目指し、昨年度までに下記のことを明らかにしてきた。(1)MSI誘導は増殖停止状態における「DNA複製ストレス」に起因すること、(2)野生型細胞ではDNA複製ストレスに起因したDNA損傷の相同組換修復効率が低く、これに起因して4倍体形成が誘導されること、(3)MMR欠損細胞における高頻度の点突然変異導入は、不死化形質の獲得に伴うこと、(4)前記変異導入には相同組換修復過程における、校正機能を持たないDNAポリメラーゼの誘導が関与することを明らかにしてきた。そこで本年度は、MSI導入の詳細な機構解明を目指して研究を実施した。MMR欠損細胞を用いて、DNA複製ストレスに伴って誘導される複数種類のDNAポリメラーゼをノックダウンした背景で、薬剤への耐性獲得を誘導したところ、前記複数種類のDNAポリメラーゼのうち1種類をノックダウンした背景では、耐性の獲得に伴うMSI導入が誘導されないことが明らかになった。
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (1件)
Cell Reports
巻: 13 ページ: 2728-2740
10.1016/j.celrep.2015.11.054.