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2014 年度 実績報告書

ALSの発症機構解明と治療に向けたSOD1-Derlin-1結合阻害化合物の探索

研究課題

研究課題/領域番号 13J10655
研究機関東京大学

研究代表者

圓谷 奈保美  東京大学, 薬学系研究科, 特別研究員(DC1)

研究期間 (年度) 2013-04-01 – 2016-03-31
キーワード化合物スクリーニング / タンパク質間相互作用 / ALS / SOD1 / Derlin-1
研究実績の概要

本研究は、変異型SOD1とDerlin-1の結合を介した小胞体ストレスの誘導によるALS発症メカニズムに基づいてタンパク質間の相互作用を阻害する低分子化合物を見出し、ALS発症機構の解明に向けた研究の更なる発展と、ALS治療薬の開発に繋げることを目指している。昨年度までに、本学創薬オープンイノベーションセンターが保有する約16万化合物に対する大規模スクリーニングの実施に成功し、19個の候補化合物を得た。そして絞り込んだ候補化合物に対し、その構造類似体についての結合阻害効果の検討を行った。
今年度は、共同研究により化合物の合成展開を行い、より阻害効率や膜透過性、安定性、特異性が良く、細胞毒性が少ない化合物を得るために活性評価を行った。約70種類の新規化合物の創出を経て、細胞培養液中への化合物添加により、細胞膜透過性をもち、細胞毒性が見られず顕著な活性を示す化合物を得ることに成功した。同時に、この構造類縁化合物が結合領域のみ同士のSOD1とDerlin-1の結合を阻害することも明らかとなった。
細胞系で活性をもつ化合物が得られたことで、実際にALS病態モデルマウスへの化合物投与により、その化合物の病態改善効果の検討を行うことが可能になった。よって、今年度より得られた化合物のin vivo評価のため、ALSマウスにおける化合物投与実験を開始した。
また、より詳細な化合物の活性と構造に関する情報が得られたことから、さらに活性の高い化合物の獲得を目指しながら、化合物の活性を保ったままビオチン化修飾を施し、細胞溶解液を用いてpull downすることで、化合物のターゲット及び結合特性を明らかにするための合成展開にも着手した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

大規模スクリーニングにより得られた候補化合物に対し、共同研究により合成展開を行うことで、細胞系においてSOD1-Derlin-1結合阻害活性を示す化合物の獲得に成功し、同時に化合物の活性と構造に関する詳細な情報を得ることができた。細胞系で活性を示す化合物が得られたことにより、ALSモデルマウスへの化合物投与実験を行うことが可能となり、SOD-Derlin-1結合阻害化合物が実際にALS病態改善効果を発揮するかを検討することが可能になった。また、得られた化合物の活性と構造に関するデータは、さらなる化合物の最適化を進めると同時に、ターゲンット分子同定のためのビオチン化修飾を始めとする各種修飾部位の検討するために、大いに役立つ情報となった。

今後の研究の推進方策

今後は、得られたSOD1-Derlin-1結合阻害化合物がSOD1のホモダイマー化や抗酸化活性、Derlin-1のERAD機能に与える影響を検討するとともに、ビオチン化修飾を始めとする各種修飾を施した化合物の合成・活性評価を行ったのちに、pulldownアッセイによって化合物のターゲット及び結合特性を明らかにする。
得られた阻害化合物のターゲットがSOD1であった場合は、化合物とSOD1の共結晶をとることによって、SOD1の構造変化の実態を明らかにする。またDerlin-1がターゲットの場合にも、共結晶化し構造解析を行う。
そして、初代運動神経細胞の培養系を用いて、結合阻害化合物の添加により変異型SOD1や他のALS原因遺伝子変異による運動神経細胞死が抑制されるかを検討する。さらに、現在進めているALSモデルマウスへの化合物投与実験により、症状の緩和・軽減がみられるか評価を行っていく予定である。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2014

すべて 学会発表 (3件)

  • [学会発表] Exploration of SOD1-Derlin-1 interaction inhibitors to reveal the ALS pathogenesis2014

    • 著者名/発表者名
      Tsuburaya. N., Homma, K., Fujisawa, T., Ichijo, H.
    • 学会等名
      第37回日本分子生物学会年会
    • 発表場所
      横浜
    • 年月日
      2014-11-25 – 2014-11-27
  • [学会発表] ALSの発症機構解明と治療に向けたSOD1-Derlin-1結合阻害化合物の探索2014

    • 著者名/発表者名
      圓谷奈保美、本間謙吾、藤澤貴央、一條秀憲
    • 学会等名
      第87回日本生化学会大会
    • 発表場所
      京都
    • 年月日
      2014-10-15 – 2014-10-19
  • [学会発表] ALSの発症機構解明と治療に向けたSOD1-Derlin-1結合阻害化合物の探索2014

    • 著者名/発表者名
      圓谷奈保美、本間謙吾、藤澤貴央、一條秀憲
    • 学会等名
      第23回Cell Death学会学術集会
    • 発表場所
      東京
    • 年月日
      2014-07-18 – 2014-07-19

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公開日: 2016-06-01  

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