研究課題/領域番号 |
13J10685
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研究機関 | 東京学芸大学 |
研究代表者 |
原田 真澄 東京学芸大学, 連合学校教育学研究科, 特別研究員(PD)
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キーワード | 太閤記物 / 人形浄瑠璃 / 文楽 / 近世文学 / 古典芸能 / 仮名写安土問答 / 日本賢女鑑 / 小西行長 |
研究概要 |
2013年度は、①「基礎資料の悉皆調査・整理・紹介」と②「太閤記物作品の上演・出版年表の作成」に加え、③2本の作品研究を予定していた。 まず、①「基礎資料の悉皆調査・整理・紹介」では、早稲田大学演劇博物館、大阪市立中央図書館、大阪文楽劇場図書室、国立国会図書館、三井文庫、佐渡市新穂歴史民俗資料館、佐渡博物館、吉田文庫、ニューヨークパブリックライブラリー別館リンカーンセンターパフォーミングアーツ館、コロンビア大学東亜図書館などにおいて人形浄瑠璃文楽関連の資料調査を行った。科学研究費の助成が受けられたため、広く国内外の施設での資料調査を行うことが出来、研究の進展に非常に資することとなった。これらの資料調査で得られた成果は、②「太閤記物作品の上演・出版年表の作成」や③作品研究に生かされている。特に②「太閤記物作品の上演・出版年表」は大方が完成した。現在では、さらに上演年表を充実させて、初演だけでなく可能な限り確認できる再演も採録することを計画している。 ③作品研究では、「仮名写安土問答」の作品研究をおこない、その成果を口頭による研究発表でまとめた。また、浄瑠璃および歌舞伎作品の太閤記物に登場する小西行長像を検証した論文「朝鮮軍記物浄瑠璃作品における武将・小西行長像」を学術誌『アジア遊学』に寄稿した。さらに、Association for Asian Studies (AAS)の2014Annual Conferenceにおいて「日本賢女鑑」における淀君像を検証する口頭発表を行った。 以上述べてきた様に、2013年度は①「基礎資料の悉皆調査・整理・紹介」、②「太閤記物作品の上演・出版年表の作成」、③作品研究のいずれにおいても当初の予定を大きく超える進展があったと言えよう。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
まず、資料調査の面では、当初予定していた機関に加え、学会発表先である海外の機関の調査も行っている。そして、予定していた太閤記物作品の上演・出版年表の作成は完成し、さらなる充実を期している。作品研究においても当初2本行う予定であったが、3本の作品研究が行えている。以上の点から当初の計画以上に進展していると考える。
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今後の研究の推進方策 |
二年目も引き続き、資料調査と作品研究に加え、上演史研究を行っていく。まずは、前年度着手した「百合若高麗軍記」の翻刻を完成させたい。作品研究においては、平成25年度に口頭発表を行った「仮名写安土問答」と「日本賢女鑑」の論文執筆に加え、近松門左衛門作の太閤記物の鏑矢「本朝三国志」について、古浄瑠璃の「太閤記」との関連も含めて相互影響関係を考察することを予定している。そしてこれらの作品研究と平行して上演史研究も行っていく。 前年度同様に、これらの研究成果は国内外の学会で積極的に発表をおこなっていく。また、初年度はノートPC等の研究環境整備のための設備備品に費用が多く割かれたが、二年目以降は調査および成果発表のための旅費を拡充したい。
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