研究課題/領域番号 |
13J10728
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研究機関 | 東京海洋大学 |
研究代表者 |
長谷川 浩平 東京海洋大学, 海洋科学技術研究科, 特別研究員(DC1)
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キーワード | 漁具モニタリング / 超音波テレメトリー / ピンガー / タチウオ漕ぎ釣り漁業 |
研究概要 |
本研究では、沿岸漁業において重要な役割を担っている小型船による漁業の操業の効率化に貢献できる操業中の漁具をリアルタイムでモニタリングするシステムの確立を目的とする。その方法としては、水中生物の行動調査に用いられる超音波テレメトリーシステムを漁具用に改良する。平成25年度は、対象漁業の一つであるタチウオ漕ぎ釣り漁業の漁具・漁法の調査を行った。同時に、既存のシステムを用いて、漁具のモニタリングを試み、改善点を検討した。その結果、既存の技術で漁具のモニタリングが可能であることが確認できたが、いくつかの問題点も挙げられた。まず、既存の機器では小型漁船に実装するには機器が大きすぎるため、設置により作業の妨げになる。また、漁具に取り付ける超音波発信器(ピンガー)の電池交換は直接導線を半田付けする必要があり、簡単ではないことも問題点として挙げられた。ピンガーからの信号を受ける受波器については既存のもので問題ないと判断したが、操業中には受波器を上げ下ろししなくてはならないため、漁船への設置方法の検討が必要である。これらを踏まえて、システムの改良を行った。 タチウオ曳縄漁業の場合、必要な情報は漁具の深度のみであるため、小型の1チャンネル受信機を採用した。ピンガーは、簡単に電池交換ができるように電池ホルダーを内蔵したものにし、サイズもなるべく小型のものとした。受波器の設置方法の改善は、今年度の段階では完成しなかったため次年度の課題となった。 実際に操業を行う漁船で改良した機器の実装実験を行い、漁具の情報を連続的に得られることを確認した。この実験により、深度の表示方法やピンガーの強度に関して検討する必要があるという課題が新たに挙げられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成25年度の研究計画である、漁具モニタリングシステムの構築について、何点か課題が残っているがほぼ達成していると考えている。また、予定していた小型底引き網への実装実験を行うことができなかったが、これは、次年度に予定していたタチウオ漕ぎ釣り漁具への実装実験を先に行ったためであり、進展の遅れとは考えていないため。
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今後の研究の推進方策 |
今後の課題としては、まず、さらなる機器の改良を行っていく。まず、受波器の漁船への設置方法を検討していくこと、深度の表示方法についてより漁具の深度が確認しやすい方法を検討すること、また、ピンガーに漁具の投入と回収の繰り返しで傷がつくことが確認できたので、ピンガーの強度を向上させる必要があることが挙げられる。また、深度データに前後の深度から外れた値が見られた。これらエラーデータ数は、操業ごとにばらつきが見られた。今後、魚群探知機の映像データと漁具の深度データからエラーデータの出やすい条件を検討し、対策していく予定である。 次年度は、これらの課題を解決し、システムの完成を目指すことと、実装実験を行う漁具の種類、地域を拡大させていくことを予定している。
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