研究課題
本年度は、犬の肥満細胞腫株化細胞CoMSから作製したイマチニブ耐性株rCoMS1で認められたKITの過剰発現が、イマチニブ耐性に及ぼす影響を明らかにすることを目的とした。KIT分解能の解析により、rCoMS1で見られたKITの過剰発現はKITの分解遅延よってKITが蓄積した結果であることが明らかとなった。さらに、この反応はイマチニブの有無に伴って可逆性に起こることから、rCoMS1におけるKITの過剰発現は、イマチニブに対する反応性の変化であり、KITの細胞内動態の変化により生じると考えられた。rCoMS1におけるKITのユビキチン化の解析において、KITの発現が少ない細胞ではKITがユビキチン化しているのに対して、KITが過剰に発現している細胞ではKITのユビキチン化が明らかに減少していた。さらに、KITの過剰発現は細胞表面で認められたことから、rCoMS1で認められたKITの可逆性の過剰発現はイマチニブによりKITユビキチン化を可逆的に抑制し、その結果、細胞膜上でKITが増加したと考えられた。rCoMS1におけるKITリン酸化の解析とイマチニブの細胞増殖抑制試験により、KIT発現がわずかである細胞ではイマチニブによる明らかなKITリン酸化の抑制と細胞増殖の抑制が見られたが、KIT発現が過剰に増加した細胞ではいずれの抑制も見られなかった。このことから、KITの過剰発現は、CoMSのイマチニブ耐性化において中心的な役割を果たすことが明らかとなった。
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 2件、 査読あり 2件、 謝辞記載あり 2件)
European Journal of Haematology
巻: 59 ページ: 524-531
10.1111/ejh.12526
Veterinary Journal
巻: 206 ページ: 143-148
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