研究課題
昨年度は、PU.1がCCL(C-C Chemokine Ligand)17およびCCL22のプロモーター領域に結合して、両遺伝子の発現を正に制御していることを明らかにした。CCL17とCCL22は共にレセプターがCCR4であり、CCR4を特に強く発現するTh2細胞の炎症部位への遊走を高めることから、アレルギー反応と密接な繋がりがあると考えられている。加えて、順天堂大学の膠原病内科学教室との共同研究では、破骨細胞分化のマスターレギュレーターであるNFATc1の発現をPU.1が制御していることを明らかにした。このように、昨年度得られた結果も、樹状細胞におけるPU.1が、アレルギーや自己免疫疾患の誘導に関与していることを示しており、さらに主張が強化される形となった。PU.1をノックダウンすることによって、炎症誘導に関与する遺伝子群の発現が軒並み低下し、寛容誘導性の樹状細胞を作出することができるという本研究の趣旨を支持する結果が相次いで得られていることから、作製した樹状細胞を疾患モデルマウスに投与する実験も始めている。昨年度は、敗血症モデルマウスにPU.1をノックダウンした樹状細胞を投与すると、生存率が向上するかについて検討を行った。しかしながら、マウスの腹腔にLPSを投与して敗血症を発症させた後にPU.1をノックダウンした樹状細胞を投与しても、生存率の向上を示す明確な結果は得られなかった。これは、LPS誘導による炎症が急激に且つ強烈に起こるため、PU.1をノックダウンした樹状細胞を投与しても、回復が間に合わないうちにマウスが死んでしまうことが原因として考えられた。したがって、今後は、敗血症モデルではなく、自己免疫疾患モデルや喘息モデルマウスにおいて、PU.1をノックダウンした樹状細胞を投与することで、症状が改善するかについて検討するつもりである。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2015 2014 その他
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (6件) 備考 (1件)
Journal of Immunology
巻: 192 ページ: 3936-46
10.4049/jimmunol.1302366
http://www.rs.noda.tus.ac.jp/~biost/labo/nisiyama.html