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2013 年度 実績報告書

膜タンパク質TIM-4の新規結合分子の発見と炎症細胞機能亢進機構の解明

研究課題

研究課題/領域番号 13J10815
研究機関順天堂大学

研究代表者

蒲池 史卓  順天堂大学, 大学院医学研究科, 特別研究員(DC2)

キーワードアレルギー / マスト細胞 / サイトカイン産生 / TIM-4 / LMIR5 / TIM-3
研究概要

マスト細胞は、アレルギー反応に深く関与する細胞であり、アレルギー疾患の理解と治療には、マスト細胞の機能制御機構の解明が非常に重要である。TIM-4は、細胞膜上に発現する蛋白質であり、死細胞除去やT細胞機能の調節に関与する。しかし、アレルギー4反応におけるTIM-4の役割は明確でない。これまでに申請者は、TIM-4がマスト細胞に結合しサイトカイン産生を亢進させること、既知の結合分子であるLMIR5に加えてTIM-3にも結合することを見いだしている。一方、これら分子にTIM-4が結合した場合の機能は明らかでない。そこで、マスト細胞におけるTIM-4とLMIR5、TIM-3相互作用の機能を解析した。
マスト細胞のLMIR5の発現をRNA干渉により低下させると、TIM-4処理によるサイトカイン産生が減弱した。また、LMIR5を欠損したマスト細胞では、野生型の細胞に比べてサイトカイン産生量が低かった。一方、TIM-3遺伝子の発現を低下あるいは欠損させたマスト細胞では、野生型マスト細胞よりもTIM-4処理後のサイトカイン産生量が多かった。また、TIM-3を欠損したマスト細胞をTIM-4で処理した場合のサイトカイン産生は、LMIR5遺伝子の発現をRNA干渉により低下させることで抑制された。したがって、TIM-4はLMIR5と結合してサイトカイン産生を誘導し、TIM-3はTIM-4-LMIR5結合によるサイトカイン産生に対して抑制的に働いていると考えられる。以上より、TIM-4とLMIR5との結合を特異的に阻害することで効率的にマスト細胞の機能を抑えることができる可能性がある。さらに申請者は、可溶型のTIM-4が存在することを見いだした。従来TIM-4は細胞膜上に発現すると考えられていたため可溶型TIM-4の存在意義は不明である。今後は、可溶型TIM-4の生成機構や機能等を調べる予定である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

予定していた研究課題はほぼ達成することができた。また、マクロファージや破骨細胞にTIM-4が結合した場合の役割も明らかにし、論文として発表することができた。ただし、マスト細胞に関しては、論文発表や特許取得はできていないため、区分②とした。そこに到達できなかったのは、TIM-4には膜型だけでなく可溶型が存在するという、当初の予想を超える結果を得ることができ、さらなる解析が必要となったためである。

今後の研究の推進方策

申請者は、可溶型のTIM-4も存在することを見いだした。そこで今後は、膜型および可溶型のTIM-4が、各種疾患の新規治療標的や診断マーカーとしてふさわしいか突き止めることを目的として、下記2項目を明らかにする。
1)可溶型TIM-4の生成機構および機能
膜型TIM-4が切断されて可溶型として遊離されるのか、マスト細胞等のサイトカイン産生を増加させるか調べる。
2)ヒトにおいても可溶型TIM-4は存在するか
ヒトの可溶型TIM-4の測定系を確立させ、健常人と患者サンプルにおける可能型TIM-4レベルを測定する。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2013

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (2件)

  • [雑誌論文] TIM-4 has dual function in the induction and effector phases of murine arthritis2013

    • 著者名/発表者名
      Abe Y, Kamachi F, Kawamoto T, Makino F, Ito J, Kojima Y, Moustapha Ael D, Usui Y, Yagita H, Takasaki Y, Okumura K, Akiba H
    • 雑誌名

      Journal of Immunology

      巻: 191巻 ページ: 4562-4572

    • DOI

      10.4049/jimmunol.1203035.

    • 査読あり
  • [学会発表] Soluble form of TIM-4 regulates mast cell activation by binding to LMlR5 and TIM-32013

    • 著者名/発表者名
      Kamachi F, Harada N, Nishiyama C, Izawa K, Kitaura J, Okumura K, Miyake S, Akiba H
    • 学会等名
      第42回日本免疫学会学術集会
    • 発表場所
      幕張メッセ(千葉県千葉市)
    • 年月日
      2013-12-12
  • [学会発表] Anti-TIM-4 mAb ameliorates allergic lung inflammation by inhibiting TIM-4-mediated mast cell stimulation2013

    • 著者名/発表者名
      Kamachi F, Hara M, Harada N, Katsura Y, Kojima Y, Izawa K, Nishiyama C, Okumura K, Akiba H
    • 学会等名
      15th International Congress of Immunology
    • 発表場所
      Mico Milano Congressi (イタリア、ミラノ)
    • 年月日
      2013-08-23

URL: 

公開日: 2015-07-15  

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