研究課題/領域番号 |
13J10819
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研究機関 | 順天堂大学 |
研究代表者 |
都築 孝允 順天堂大学, スポーツ健康科学研究科, 特別研究員(DC1)
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キーワード | 2型糖尿病 / 運動 / 骨格筋 / 熱ショックタンパク質 / OLETF / 安静時代謝 / 脂質異常症 |
研究概要 |
これまで、2型糖尿病に対する運動の改善効果について多くの研究が行われてきた。その中でも、近年2型糖尿病と熱ショックタンパク質72 (HSP72)の関係が注目されている。2型糖尿病患者において骨格筋のHSP72の発現が低下していることが報告されているが、発症前における糖尿病とHSP72の関係は不明である。また、運動による2型糖尿病の予防・改善効果とHSP72の関係についても明らかではない。本年度は、2型糖尿病のモデル動物を用いて糖尿病の発症過程における代謝的な変化および骨格筋HSP72タンパク質の変化を検討した。被験動物には2型糖尿病を自然発症するOtsuka Long-Evans Tokushima Fatty (OLETF)ラットおよび糖尿病を発症しない同系統の動物であるLong-Evans Tokushima Otsuka (LETO)ラットを用いた。5、15および25週齢時に、生体ガス質量分析装置を用いて活動期(暗期)の安静時代謝測定および耐糖能を評価するための腹腔内糖負荷試験(IPGTT)を行った。IPGTTの5日後に、血液および下肢骨格筋を採取し、生化学的分析を行った。その結果、OLETFラットは加齢に伴い耐糖能異常を示し、25週齢時には糖尿病を発症していた。また、血中トリグリセリドにおいても耐糖能異常と同様に加齢に伴い増加した。一方で、遊離脂肪酸はいずれの週齢においてもLETOラットより高値を示した。また、生体ガス質量分析装置を用いて測定した安静時の体重あたりの酸素消費量は、15および25週齢時においてLETOラットと比較してOLETFラットで有意に低値を示した。骨格筋HSP72発現量は、ヒラメ筋および足底筋において、いずれの週齢においてもLETOラットと比較して、OLETFラットの方が高値を示した。これは、耐糖能異常や脂質異常症といった代謝的なストレスに対して細胞を保護するための適応である可能性が考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画はおおむね順調に進展しており、本年度の研究目的は十分に達成されていると考えられるため。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は糖尿病と関連すると言われている酸化ストレスや炎症の指標について分析をし、HSP72との関連を検討するとともに、走運動に対する一過性の応答を細胞内タンパク質レベルで検討していく予定である。
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