研究課題/領域番号 |
13J10819
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研究機関 | 順天堂大学 |
研究代表者 |
都築 孝允 順天堂大学, スポーツ健康科学研究科, 特別研究員(DC1)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 2型糖尿病 / 運動 / 骨格筋 / シグナル伝達 / OLETF / 体温上昇 / Akt / AMPK |
研究実績の概要 |
近年、2型糖尿病と熱ショックタンパク質72(HSP72)の関係が注目されている。HSP72発現量は運動によって発現増加することが知られているが、一方で体温上昇が抑えられるような低温環境下での運動ではHSP72発現が抑制されることも示されている。そこで本年度は、運動時の体温上昇の有無に着目し、一過性運動が糖取り込み関連シグナル伝達系に与える影響を明らかにすることを目的とした。被験動物として2型糖尿病を自然発症するOtsuka Long-Evans Tokushima Fatty (OLETF)ラットを用いた。OLETFラットを安静群(CON)、常温運動(WEx)群および低温運動(CEx)群に群分けした。WExおよびCEx群には、25週齢時に常温環境(25℃)または低温環境(4℃)で20 m/minで30分間のトレッドミル走を実施した。運動の前後で直腸温を測定した。また、運動直後に麻酔下で血液を採取し血糖値および血中乳酸濃度を測定した。加えて、下肢骨格筋を摘出しウェスタンブロット法を用いて糖取り込みに関与するシグナル伝達物質を分析した。本研究の結果、WEx群の直腸温は運動直後において有意な上昇が認められたが、CEx群では運動直後においても、運動前の体温と同程度であった。骨格筋の糖取り込みに関与するインスリンシグナル伝達経路の主要なタンパク質であるAktおよび下流のAS160のリン酸化は、CON群と比較して、WEx群の運動直後において有意に増加したが、CEx群では変化は認められなかった。一方、インスリン非依存的なシグナル伝達経路の主要なタンパク質であるAMPKのリン酸化は、CON群と比較して、両運動群の運動直後において有意に増加した。以上のことから、体温上昇を伴う運動は骨格筋の糖取り込みに関与するインスリン依存的および非依存的なシグナル伝達経路を共に活性化させる可能性がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画はおおむね順調に進展しており、本年度の研究目的は十分に達成されていると考えられるため。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は、今年度得られたサンプルについて、遺伝子解析を含め、より詳細なメカニズムを検討しつつ、長期間運動を行った場合のトレーニング効果についても検討していく予定である。
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