平成26年度は、対象とする長野県松本市に存在する長野県松本深志高等学校所蔵史料を中心とした調査、および同校同窓会を通じて旧制長野県松本中学校卒業生への接触を継続した。また、長野県飯田高等学校・同校同窓会への史料調査を継続して実施した。 長野県松本深志高等学校所蔵史料の調査について、研究対象としている1890年代から1940年代の校友会雑誌史料の悉皆調査を実施し、現存する当該期の校友会雑誌、記念誌を調査した。また、学校に残存する『教務日誌』についても調査を実施し、旧制中学校における学校の動きを具体的に明らかにする史料を得た。加えて、1941年卒業、卒業後に高等学校の教員となった人物の私蔵資料を発見し、内容の整理と調査を実施した。在学中の様子を明らかにするために有用な回想等も多数存在し、旧制中学校における生活や生徒の思考について検討する際に極めて重要なものと考えられる。内容の調査を継続中である。また、松本市図書館にて郷土資料を閲覧調査し、中学校で集団的規範を身につけた生徒が、卒業後に地域社会・日本社会においてどのような位置にいたのかを可能な限り調査した。さらに、長野県松本中学校卒業生とも接触することで情報収集を実施し、情報の提供を受けた。 長野県飯田高等学校・同校同窓会では、長野県飯田中学校の校友会雑誌の多数の残存を確認した。飯田中学校に存在していた寄宿舎は、松本と密接な関係があったことから、寄宿舎史料についても継続した閲覧調査を実施し、対象としている長野県松本中学校の周辺状況を調査したことで、松本中学校での状態を立体的に明らかにする手がかりを得た。 上記の調査により、松本中学校における運動部活動の様子がさらに明らかになるだけでなく、より包括的に生徒組織の動きが明らかとなり、中学校での規範を身につけた出身者の卒業後のネットワークについても接近する可能性が展開した。
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