食生活に抗酸化物質を取り入れる必要性や有効性を裏付けるためには、実際の食生活では複数の種類の抗酸化物質を同時に摂取しているということを考慮する必要がある。これまでに様々な食品によるLDL被酸化能や血管内皮機能改善作用について報告してきたが、種類の違いによる効果の比較などの報告は少ない。そこで、申請者は、数種類のポリフェノールの種類による効果の違いや、その作用機序を明らかにすることを目的とした検討を行った。 1.緑茶カテキンによる血管内皮細胞における遺伝子発現変動の網羅的解析 4種のカテキンをヒト臍帯静脈内比細胞 (HUVEC)に作用させた際のmRNAの発現変動についてDNAマイクロアレイを用いて網羅的に解析した。変動した遺伝子についてパスウェイ解析を行った結果、血管新生に関与する幾つかのCanonical Pathwayとの関連性が示された。 2.ポリフェノールによるLDL被酸化能改善作用の検討 1年目の検討で、ガレート型カテキンを豊富に含む緑茶抽出物の摂取がLDLに対して抗酸化力を発揮する事が明らかになっている。昨年度は4種類のカテキンの血漿中での安定性を測定し、ガレート型カテキンは血漿中における安定性が高いことが示された。さらにヒトが緑茶抽出物を摂取した際のLDLに分布するカテキンの濃度測定を行った所、摂取後に顕著にLDL分画中のカテキン濃度は増加している事が示された。
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