研究課題/領域番号 |
13J10997
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
竹内 麻貴 立命館大学, 社会学研究科, 特別研究員(DC2)
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キーワード | 女性の就労 / 国際比較 / 後発国 / 計量分析 |
研究概要 |
急激な経済発展と少子化を経験している後発国も含めた、女性就労の国際比較分析を可能とする分析枠組みの構築を目的に、国レベルと個人レベルのデータ分析を行った。 国レベルの分析は、複数の国の各種長期マクロ統計を記述的に分析した。特に、後発国として注目する台湾の年齢階層別女子労働力率は文献媒体までたどり、60年代からの台湾女性の就労パターンの経年変化を捉えることに注力した。これにより、80年代以降のデータを扱った既存研究に比べ、より厳密に経済発展の中での女性就労の変化を分析できた。主な成果として、経済成長前にM字曲線を描き、経済成長期には一貫してM字の底が上昇していくという、欧米や日韓の経験とは異なる台湾(後発国)特有の変化パターンが捉えられた。 個人レベルの分析では、女性の実際の就労選択について企業規模に注目し、日本と台湾に関してイベントヒストリー分析によって検討した。両国とも企業規模の重要性は指摘されるものの、データの制約上計量的研究は少なく、複数の調査データによる検討も薄い。今回は、まだ分析されていない「就業構造基本調査」の匿名データ(日本)と、the Panel Study of Family Dynamics(台湾)のデータを用いた。主な成果として、日本の分析に関しては、小規模企業では結婚と育児に対する両立支援は、大企業と遜色ない程度に行われているものの、介護と看護には上手く対応できていないという意味で、大企業と横並びであることを示唆するものであった。この成果は2013年度参加者公募型二次分析研究会の報告会、並びに研究成果報告書としてまとめた。なお、台湾に関しては現在分析を修正中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
国レベルの分析に関しては結果が予想と異なったため、個人レベルの分析に関しては用いるデータと分析方針を当初予定していたものから変更したため、論文のかたちで成果を発表する作業が遅れているから。ただし、研究自体はおおむね順調に進展しているといえる。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、第一にこれまでの研究成果を論文にまとめる。また、1年度目の研究の状況から当初予定していた2年度目のカナダ出張を、マクロパネル分析の手法についてさらに理解を深めるため、7月中旬から8月初旬にかけてミシガン大学で行われるICPSR Summer Programへの参加に変更する。
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