研究課題/領域番号 |
13J11004
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
根上 春 東京大学, 工学系研究科, 特別研究員(DC1)
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研究期間 (年度) |
2013-04-26 – 2016-03-31
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キーワード | 睡眠障害 / 概日リズム / 多体問題 / 非線形力学 |
研究実績の概要 |
Fatgraph モデルを用いたタンパク質立体構造予測の手法の開発については、以下のように実施したが、よいデータを得ることが出来なかった。 1) 既存のモデルの改良として、複数のパラメータを導入してモデルを構築した。 2) データベースのデータ範囲を特定の条件で絞った後に上記のモデルが適用できないか検討した。 3) Fatgraph モデルに代替するモデルの導入を検討した。 上記の方法で本年度までに結果を得ることが出来なかったために、年度後半に以下のように研究の内容を変更することとなった。即ち、生命活動における活性ー非活性状態の変化を数理モデル化し、そのリズムの安定化要因を探ることを目的とした。具体的には、ヒトの概日リズムに関連する因子の数理モデルを構築し、その安定化要因とカオス発生条件を調べることによって睡眠障害の治療方法を提案することを目的とした。本研究は以下の2点で重要である。まず数理モデルの観点では、本研究は、多体問題に関する示唆を与えることが出来る可能性がある点である。生命現象を支えるタンパク質などの物質の濃度は、複数の物質間でシグナルを伝達し合いながらその値を上下させる。これを振動子と見ると、物質の濃度は複数の振動子が相互に作用した非線形の力学系と捉えることができる。数値シミュレーションを用いてその周期性について明らかにすることは重要である。さらに社会的な観点としては、睡眠障害に対する治療計画をそのタイプ別に提案できる可能性があるという点で有用である。(24時間営業の形態のビジネスが盛んになっている昨今、睡眠障害とそれを伴う精神疾患の患者数は特に先進国において増加傾向にある。)
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
Fatgraphモデルを用いたタンパク質立体構造の予測については十分な結果を得られることが出来ずなかった一方で、その後計画を変更して行った生命活動における活性ー非活性状態の変化を数理モデル化に関しては概ね順調に進んでおり、3月末までに有用なデータを得ることができた。後者については現在論文にて発表準備中である。
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今後の研究の推進方策 |
5月末までに、平成26年度の研究成果を論文化する。こちらは、完全に理論ベースの研究内容となっている。また、同時進行で現在モデルの改良と実験データと照らしあわせた評価を行っており、6月にはその内容も併せて論文化する。7月、8月には、さらに複数のホルモンや転写因子を導入したモデルを作成し、検証を行う予定である。9月には、それらの成果をまとめて発表する。
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