研究課題/領域番号 |
13J11024
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研究機関 | 順天堂大学 |
研究代表者 |
内村 元昭 順天堂大学, 医学系研究科, 特別研究員(DC2)
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キーワード | 背景座標系 / 網膜座標系 / 頭部座標系 / 誤差情報 / 運動学習 / 到達運動 |
研究概要 |
本研究は、「運動学習の誤差信号が背景との相対的な位置で表現されている」という仮説を検証することを目的としている。本年度は、背景座標系での標的の位置が脳内のどの領域で表現されているか、機能的磁気共鳴画像法を用いて検証した。昨年度中に12名の被験者に対して実験を行っていたが、本年度は6名の新規被験者を追加した。実験ではスクリーンに枠と標的を表示し、枠の位置2か所×標的の位置3か所の6種類の視覚刺激の中から1つが1回の試行で提示した。背景となる枠と標的の相対的な位置が同じ場所に繰り返し提示された場合、背景座標系を表象する部位では脳血流が低下すると予測される。結果は両側内側後頭頂葉、右背側運動前野、右頭頂間溝、右中側頭回で背景座標系に対して有意な反復抑制効果を示した。また、背景座標系を形成するにはある程度の大きさが必要であることを示すために、18人の新規被験者に小さな枠を用いて同様の実験を行ったところ、反復抑制効果を示す部位は存在しなかった。さらに、背景をなくした時に、網膜座標系と頭部座標系のどちらで標的の位置を表象しているか18人の被験者で検証したところ、両側視床網様核が網膜座標系で標的の位置に対して反復抑制効果を示した。これらの結果から、様々な大脳連合野がネットワークを形成して、背景座標系での標的の位置を表現していることが明らかになった。特に、内側後頭頂葉と背側運動前野は到達運動において重要であることが知られており、背景を中心とした運動学習の誤差信号は、これらの部位で表現されているのでないかと推測される。 以上の結果をまとめて、第7回モーターコントロール研究会、平成25年度包括脳ネットワーク夏のワークショップ、第91回日本生理学会大会などで発表した。第7回モーターコントロール研究会では若手研究奨励賞を受賞した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は背景座標系で標的の位置を表現している脳部位を、機能的磁気共鳴画像法を用いて明らかにすることに成功しており、順調に進展していると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度は背景座標系で標的の位置を表現している脳部位を、機能的磁気共鳴画像法を用いて、明らかにすることに成功した。平成26年度は、背景座標系で表現されている運動学習の誤差情報が脳内でどのように表現されているか解明することを目指す。
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