哺乳動物の卵子は卵胞と呼ばれる小組織内で発育し、発生可能な卵子へと成熟する。本研究では卵子の成熟を促す卵胞の体外培養系を構築するうえで、卵胞構造を維持した成長には卵胞の周囲に存在する髄質細胞の存在とそれらの分泌因子の両者が必要であるとの結論に至り、それらを解決するために新たな培養法を開発するうえで2点の研究シーズを得た。①間質細胞との共培養をを可能とするため卵巣機関培養の開発を開始した②間質細胞を解析したところ、生殖細胞のような挙動を示す道の細胞を見出した。これらの結果から昨年度は以下の研究成果が得られている ①当初開発を行う予定であった卵胞培養では、二次卵胞以降の卵胞において顆粒膜細胞が異常増殖を行い、卵胞内の卵子が物理的に圧迫され、細胞死を起こす現象が認めれらた。そこでそれらを解決するために体内を模倣する系を樹立するため卵巣の培養法を考案した。培養液を血管を介してかん流することから、血管が比較的大きいウサギを用いて試験を行った。これまでにかん流培養をお粉装置の開発を完了し、卵巣周囲を覆う溶媒、培養液の開発を行っており、24時間の培養と卵巣培養における排卵誘発を目指して試験を行っている。 ②これまで成体卵巣内に存在する生殖細胞は卵子のみであるとされてきた。しかし、近年Tillyらの研究グループが卵巣表皮に卵子以外の生殖細胞が存在すると主張している。我々は、卵巣の中心部に位置する間質細胞を解析するうえで、生殖細胞としてふるまう未知の細胞を同定することに成功した。これらの細胞は、サイトカインを添加した培養液中でDAZL陽性細胞へと分化し、生殖細胞特異的な表面高原マーカーであるCD61とSSEA1の発現が認められている。しかし、再構成卵巣を作出する手法を用いても卵子形成能は認められなかったことから、作出した細胞と真の生殖細胞の違いを遺伝子網羅解析によって解析しその差を比較している。
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